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世界中の本好きのために

横田尚哉

Profile

顧客サービスを最大化させる経営コンサルタント。世界最大企業・GE(ゼネラル・エレクトリック)の手法を取り入れ10年間で総額1兆円の事業改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現させる。「30年後の子供たちのために、輝く未来を遺したい」という信念のもと、そのノウハウを潔く公開するスタイルは各種メディアの注目の的。「形にとらわれるな、本質をとらえろ」という一貫したメッセージから生み出されるダイナミックな問題解決の手法は、企業経営にも功を奏することから「チームデザイン」の手法としても注目が高まっている。

Book Information

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私のスキル、ノウハウは本ですべて公開しています


――ファンクショナルアプローチについては、その効果もさることながら、横田さんがご自著でノウハウを大胆に公開されてることに驚きます。


横田尚哉氏: 私は昔からノウハウを教えないということが好きじゃなかったんですよね。例えば私は29歳で技術士を取りましたが、そういう栄光に輝くとその座を守りたくなるものです。20代の後輩がいて、彼が技術士にチャレンジしようとしたときに、彼のために色々ノウハウを教えてあげるか、教えないかの選択肢がありますよね。私は教えないことが理解できないんです。私が技術士を取ったことの役割は、先輩方を脅かすということもいいましたけど、本当は若い後輩に可能性を示したかったんです。その時点で私はトップになればそれでいいんです。若い奴には、誰が私を抜いてくれるんだっていうことをいって、私が5年間蓄積したノウハウを渡す。そうすると、もらった人はそれをプラスして5年間やれば、私よりも優秀になってないとおかしいですよね。

ペイフォワードじゃないけれど、先輩社員が後輩に対してやれることっていうのは、ノウハウと経験の蓄積、濃縮なんです。人類がそうやって、良いものを伝え、良くないものを伝えないということによって発展してきてるわけです。会社の中でも同じことで、そういう勉強で得られたことの良いことを伝え、やらなくていいことを伝えない。そうすると、同じ5年間でも私の5年間よりは濃い5年間ができる。その考え方がずっとあるので、本に書いたりしても平気なんです。全部いっても、後から来た人がここに来るころには、私は先に行っているわけですよ。超えることはできない。全部教えても私を抜けないっていう自信があるわけです。

――そのためにはご自身も絶えず勉強、研さんを重ねる必要があると思いますが、普段の読書などで心がけていることはありますか?


横田尚哉氏: 濃淡はありますけども、やっぱり常に何かは情報は仕入れてはいます。ただ、情報が多過ぎるので選別して入れてます。情報を仕入れて選別するのではなく、選別してから情報を入れるっていうのが重要ですよね。これは私のファンクショナルアプローチのすごく特徴的なことで、表に現れた結果と、そう至らしめた本質があります。その本質のことをファンクションと呼んで、結果の部分をカタチと呼んでいます。このカタチしか私たちは見られないのでカタチで議論するんだけど、こう至らしめた本質、もともとの根本、本来の狙いがあるんですね。これが見えたら結果なんか興味無いわけです。本質を見つけられれば誰よりも早く理想のところへ行けます。結果だけを追いかけていると、ずっと後手後手なんです。本質を見極める感覚があると、少々の変化は平気だったりします。ですから私のスキルみたいなものは、私の本を読んでいただければいくらでも出てきます。

私は、執筆依頼があったとしても、テーマを選ばず何でも書けるんです。どんなテーマを出されても、私の分析でやっていけば、今までにないものがいくらでも出てくるわけですよ。ポケットをたたけばビスケット2つ、じゃないですけど全部手放しても平気なので、そういうスタイルで生きていけば、人に盗まれることを気にする必要もない。自分はもう至って気が楽です。知識から知恵へ変えていき、物で残すんじゃなく感性で残していくということをしていけば、世の中もっと楽になるでしょうね。

知識ではなく知恵を開発する教育を



―勉強をする際に重要なことは、知識よりも思考法を学ぶということなのでしょうか?


横田尚哉氏: そうです。知識は限界があって、知識で生きていこうとすると知識を常に更新しないといけない。色々な事例だとか、環境が変わる度に知識をアップデートしなくちゃいけません。それを怠るとすぐに陳腐化してしまう。これに多くの人は時間とお金と労力を使ってるわけですけど、それでほかのことができなくなる。私は、基本は知識を求めるのではなく知恵を求めます。知恵は自分の中から生まれてくるものなので、生み出せればいいわけです。

知恵は陳腐化しないんです。知識で行こうとすると、このときはこの武器、このときはこの武器みたいな、武器だらけで重たいわけです。それで戦場に向かおうとするのって大変なんです。それよりも知恵を知っていれば、そこら辺に落ちてるものを武器にできる。何もなくてもこうすればいける、みたいなものが、その場の状況に応じてやっていけるわけです。知恵があれば手ぶらでいいんです。でも例えば今の教育は、学校教育すべてとはいわないけれど、正しく記憶しているかどうかになっている。そうすると、知識詰め込み型教育、そして知識があるかどうかでの評価になります。会社に入ってもマニュアルで知識を学ばせ、その通り行ってるかどうかでのチェックが中心で、知恵を開発する教育とか、そういうプロセスがないわけですね。横田少年は竹やぶに行ったりザリガニを釣ったりしてる中で、自然とその知恵を身につけた。糸もなく、針もなく、手ぶらでもザリガニが捕れるということを知恵として遊びの中から肌で理解した。そういう本当の教育をしていれば、社会に出ても大丈夫だったりします。

余談ですが、魔法使いが現れて、「お前に1つだけ欲しいものを与えてあげよう」みたいな童謡を小さいころに聞いたことあって、車が欲しいとか飛行機が欲しいとかいうんだけど、子ども心に、「どうして魔法が使える能力が欲しい」っていわないんだろうって思っていたんですよ。アラジンと魔法のランプだったら、「その魔法のランプを下さい」って(笑)。あまのじゃくなんだろうけど、小さいころからそういう思いがあったりするので、今の自分がそうなっていったのかもしれないですね。

――本質を見る目は、知識や技術がめまぐるしく変わる時代に対応するためにも重要ですね。


横田尚哉氏: 私はエンジニアとして橋の設計をしていて、先輩、後輩が引っ越し、部署替え、転勤のときに、転勤する人、転勤してきた人の段ボールの数を数えるのが好きだったんです。段ボール箱を山ほど持っていく人は、そりゃすごいエンジニアですが、その人のエンジニアのすごさをバックアップしてるのは段ボール箱だということです。技術的な資料とか自分の今の経歴とか色々な参考資料とか集めた情報って、やっぱり持って抱えていきたいわけですけど、20も30も箱を持ってきて、「おい横田、棚が足りんぞ」みたいなのは、変だなと思ったんです。技術はその人が持っているものであって、道具に頼ってる、知識に頼ってるのってエンジニアなんだろうかみたいな。

自分だけのとっておきの情報みたいなものを抱え込まずに、どんどん手放して、裸一貫で、包丁1本さらしに巻いて世の中渡り歩ける様なのが本当のエンジニアで、手に職を付けるというのはそういうことだという風に思っていました。段ボール箱が少ないけど技術がある人は、技術が人の中にあるんです。これの方がかっこいいですよね。段ボール箱5つ以内で技術を移動できる人は、どこへ行ってもできるんですよ。

――そのような感性を磨いていくにはどのような訓練が必要でしょうか?


横田尚哉氏: 正しいものをよく眺めておく必要があります。常に色々なものを眺めてれば、ちょっとした違いが分かる様になりますから。設計はすごく緻密な計算とか細かな図面が出てくるんですけど、私は図面のチェックするときは、いつも右脳でチェックしろっていっていたんです。200枚くらいの図面で、活字よりも細かい字とにらめっこして、鉄筋の数数えて1本足りない、みたいなことを、ひたすらやるなんて、時間がもったいないから、「数えずに眺めろ」っていうんですね。「ちょっと待てよ、何か変だな」みたいに思ったところを一生懸命見ればいいんです。だから私は誰よりも図面チェックは速かったです。分厚い計算書でも、なぜか親指が教えてくれるのです。



本はメッセージの乗り物。カタチにはこだわらない


――現在、横田さんは電子書籍は利用されていますか?


横田尚哉氏: Kindleが新しくなりましたので思わず買っちゃいました。E-inkは素晴らしいですね。読んだり、ページをめくったり、紙の本と変わりなく読むことができます。なので電子書籍で読む機会はこれから増えてくるとは思います。

――電子書籍に対して心理的な抵抗はありませんか?


横田尚哉氏: ないです。私はカタチにこだわらないので。紙である必要はないし、活字である必要がないので、そこにあまり重きを置いていないです。本を読みたいのではなく、本を読んで得たいことがあるだけのことで、電子書籍でも得られたらそれでいいわけです。

――紙の本と電子書籍が競合するとか、つぶし合うという議論もありますが、どのようにご覧になっていますか?


横田尚哉氏: 普通の紙媒体の場合は、編集があり出版社があり、取り次ぎ、書店があり読者がありというラインがありますが、電子書籍では出版、取り次ぎ、書店みたいなところが置き換わっていくわけですね。書店は例えばAmazonとかでやればすべて扱えますから、流通が電子書籍と競合するところなんですね。そうすると、著者も読者も別に競合してないわけです。編集者も別に競合してないわけです。それはその人の好みの部分だから、これもカタチなので、最終的には著者と読者がつながればいいんですよ。ただ、著者が全読者とタッチできないので、流通ルート、拡散システムがあるわけですよ。横田のメッセージが何万人かに拡散してくれるシステムがあるだけのことなので、その間がどんな手段であっても全く問題はないと私は思ってます。ただ本当に紙のみでビジネスしてる人にとっては、紙が電子化されると、競合になるので重要な問題かもしれないですけど。誰の立場で考えるかによりますよね。

――電子書籍ならではの可能性には何がありそうですか?


横田尚哉氏: 電子書籍の良いところは、単位が小割にできるっていうことですね。ビジネス書っていうのは200ページから250ページくらいが1冊とされて、そして単価も大体1500円前後みたいなのが一般的で、定型のサイズ、厚みがあります。ペーパーのスタイルを取るために、そうなってるわけですよ。本を読んだ実感を得るためのボリュームってやっぱりあるわけですよね。500ページくらいあると読む気がしないとか、50ページくらいだと読んだ気がしないみたいな。読んだ感があるのが大体200ページという感覚があって、そのサイズになる様に、量を増やしたり減らしたりしてるわけです。また、紙媒体は、流通コストだとか在庫のコストだとか考えていくと、1つの型に収めないと採算がとれなくなります。でも電子書籍は例えば第1章だけ読みたいとか、第2章だけ読みたいっていうことが可能になってくる。例えば10万字くらいのものをひと塊りにする必要は全くなくって、100万字くらい書いて好きなところ読んでもらうっていう方法だってできる。自由度が上がるんですよ。保管の部分が優れているっていうのも当然ありますよね。

――今後、横田さんご自身の著書で書きたいテーマがあれば教えてください。


横田尚哉氏: やっぱり基本は未来に関する仕事をしていきたいので、私の本を読んだ人が、未来をどうしていくか、その人自身の力で見える、あるいは乗り越えていける様なメッセージがあればいいなと思っています。なので、ターゲットとしても、30代40代っていう一般ビジネス書のターゲット層だけじゃなく、20代10代に向けてっていうのもありだと思いますし、逆に60代っていう人たちに対してのものもあるだろうし。ビジネス著者としてデビューして、そういう風に扱っていただいてるところはあるんですけど、別にビジネス書というのにこだわってるわけじゃないんですね。ただ、ビジネス書は1番世の中を変える手段として最適だということで選んでいるだけなんです。なので、もっとほかにも手段があれば、私は児童書も書くかもしれないし、そのほかに絵本も書くかもしれないし、そうするとまた絵を学ばなくちゃいけないんだけど。

――表現の場としても、ビジネス書という「カタチ」にはこだわっていないのですね。


横田尚哉氏: そうです。30年後の子どもたちのために、輝く未来を遺すためにっていうのだけは変わっていなくて、それに至るための新しい乗り物で良いものがあったらどんどん乗り換えていくだけです。でも到達先は一緒で、反対に向いては進まないっていうことです。どっちが良いかだけの比較で、テレビの方が良いんだったらテレビの方へ行くかもしれないし、講演の方が良いっていうならそっちの方に行くだろうし。それが30年後の子どもたちのためになるかどうかがすべての判断基準なんですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 横田尚哉

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