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世界中の本好きのために

西田宗千佳

Profile

1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、アエラ、週刊朝日、週刊現代、週刊東洋経済、月刊宝島、ベストギア、DIME、日経トレンディ、PCfan、YOMIURI PC、AV Watch、ASCIIi.jp、マイコミジャーナルなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、『ソニーとアップル 2大ブランドの次なるステージ』(朝日新聞出版)、『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』(講談社) などがある。

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現場取材にこだわり、創り手の生の声を記事にする



パソコン、家電、IT関連のフリージャーナリストとしてさまざまなメディアで活躍され、8月に最新本も出版された西田宗千佳氏。取材をすることで培われたという多様な知識や行動力を踏まえ、西田氏独特のIT機器の使いこなし方とは、本や新聞などの電子化に対する考えとは、そして日本の電子書籍はどこへ向かうのか、多岐にわたって語っていただきました。

「漂流するソニーのDNA」の取材を始めたのは新人ライターのころ


――最近の近況とお仕事の内容について、ご紹介いただけますか?


西田宗千佳氏: 仕事の内容はフリーのライターです。ここ2、3年は電子書籍のことを書くことが多いのですが、電子書籍が専門ではなく、ITや家電業界の話を中心に書かせていただいております。毎年何冊か本は出版していますが、8月22日に『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』(講談社刊)という本を出しました。

――この本はどういった内容でしょうか?


西田宗千佳氏: これはPlayStation®を作った人たちの話ですが、日本でソフトウェアを動かすコンピューターを作ってビジネスにしていった人たちが、どんなことを考え、どんなところで失敗し、成功したかということを、当事者たちの言葉を分析して書いているドキュメンタリーですね。

――「取材20年」という風に書かれていますね。


西田宗千佳氏: 取材という仕事を始めたのが、PlayStation®がスタートした1994年末前後からなんです。本格的にトップのインタビューをしたりするようになったのが2000年前後からです。その部分をいろいろと話をまとめて、僕自身がかかわった十数年間で得たインタビューや取材の内容をまとめて書きました。もともとは4年前にこれの元本(『美学vs. 実利』)が同じ講談社から出ているのですけれども、だいぶ内容が変わっています。最初は文庫化にあたって、ちょっと書き足す予定だったのですが、先方が「どうせならば完全新作で出したい」という希望をお持ちで、好きなだけ書き直していい、と言われましたので、結果的に8割書き直しました。足した文字数だけで7万字くらいあります(笑)。普段は、週4日くらいは何かの取材に出て、その原稿を書いているというような生活をしています。

電車の中、スマートフォンで原稿を書く時もある


――西田さんは、執筆時は取材済みの原稿をご自宅でまとめられるのですか?


西田宗千佳氏: 自宅でも書きますし、移動先でも書きます。どこで書くかは、締め切り次第ですね。それに、自宅でだけ仕事をしていると煮詰まるんです(笑)。だから、ノートパソコンを持ち出して気分を変えて書くこともあります。電車の中でスマートフォンに内容のイメージみたいなものを書いている時もありますし、喫茶店でPCを開いて書いていることもあります。どこか座っている時でも立っている時でも、何かを書いている時間は長いですね。

――スマートフォンで原稿を書かれるんですね。


西田宗千佳氏: 携帯のテンキーで文字を書くのはさすがに無理なのですが、スマートフォンになってからは、いわゆるQWERTYのソフトウエアキーボードが使えるようになりましたから、それで普通にパソコンで打つ時の4割落ちくらいのスピードでは打てています。移動時間中のロスタイムがもったいないので、移動中にもいろいろなものを書いています。原稿そのものをきれいにスマホで書くのは難しいから、ざっくりとした骨組みを書く時間にあてたり。1000字程度のコラムだったら、その場で書いちゃうこともあります。

専門領域の家電やITは、最新情報を取材して発信する。本やニュースなど二次情報だけでは書かない。


――移動中にはお仕事のほかに何をされているのでしょうか?


西田宗千佳氏: もちろん読書はしています。ボーっとしているのがあんまり好きじゃないんですよ。移動中は音楽をずっと聴いているんですけれども、仕事をするか、読書をするか、ゲームをしているかです。自宅にいても、映画を見るか、仕事をしているかどちらかですね。本も1日に1~2冊は読みます。月に20冊か30冊ぐらいは読みたいと思っていますので、寝る前と移動中は読書をすることが多いです。

――お読みになるジャンルは家電やIT系でしょうか?




西田宗千佳氏: オールジャンルですね。逆に家電やITのことは、僕は「書く立場」ですから、ほかのライターさんの書いたものを読んで勉強していてはスピードでは遅いんです。もちろん、僕が知らないことは山ほどある。例えば原発問題についてよく知っているかといったら、通り一遍の知識しかない。で、知らなかったら本を読むしかない。もちろん、単純に本が好きなので、漫画ももちろん山ほど読みますし、小説もドキュメンタリーも読みます。いわゆる一般的なビジネス本も読みますね。だから読まないジャンルの本はそんなにない。僕も月に20冊30冊読む乱読家の一人でしょう。他人が本棚を見ると「こいつマニアックな本しか読んでないな」って思われそうですが。

文庫の小説と新書は買ったらとりあえず自炊するようにしています


――いまちょうど、本棚のお話も出ましたけれども、仕事場の本棚というのはどのような感じなんですか?


西田宗千佳氏: 棚というか、積んであるだけですね(笑)。整理するのが苦手なんですよ。資料になる本は付せんをつけながら読んだりするんです。付せんをつけたら箱に入れる、もしくはメモを取るみたいな形を取っていて、そうじゃない本、例えば漫画だとか小説などは、読んだらそのままバンバン積んだり、箱に入れるという感じですね。保存場所は足りないので、文庫の小説と新書については、買ったらとりあえず自炊するようにはしています。

――ご自身で裁断、スキャンをされていらっしゃるんですか?


西田宗千佳氏: 自分でやりますね。1冊10分から20分くらいでできるじゃないですか。逆に、漫画や雑誌など、データ化に高いクオリティーが必要なものは、時間と手間がかかるので自炊してません。買っている本の3分の1ぐらいが新書と文庫なので、買って数日のうちに紙がなくなって、データとして残っているという感じになります。考え方は色々ありますが、自炊して電子化した本の場合、「この部分をピンポイントで呼び出す」というのが意外と面倒くさい。物語的に読めるものは自炊しちゃっても何の問題もないですね。ページを順番にめくっていけばいいので、デジタルになっても楽だなという印象は持っています。

――では資料性の高いものというのはどうされているんですか?


西田宗千佳氏: 今の所は自炊していないです。ただ、データ化は大切だと思って「引用する可能性が高い」と思ったところは、読んでいる最中とか読んだ後に、この本の何ページにこんなことが書いてあった」くらいの話ですけれど、EVERNOTEなどにメモを書く。ウェブを見ていても、これはネタとして使えるなと思うものはEVERNOTEに入れて取っておきますね。

――電子化する時も何かをしながら作業をされているんですね。


西田宗千佳氏: 単純に時間が足りないからです。やはり連載をやっていたり、取材をしていたりすると、時間がどうしても足りなくなる。「仕事をいただけている」ということはありがたいのですが、「楽にするために人を雇えるか」というと、僕らのレベルでは雇えない。収入が3倍になれば誰かを雇って、その人にスケジュール管理と経理をやってもらうことができるかもしれないですけれど、普通のフリーランスは、ちょっと売れた程度では、そんなことをしたら赤字になってしまう。だから時間をうまく使って「ながら」でやるようにしています。

作業が終わるまで2~3分で済むことしか残っていない


――こういった電子機器が登場して、どんどん仕事はやりやすくなっているかとは思いますが、マネジメントに関してはいつごろ変化があったんですか?


西田宗千佳氏: 僕は大変なことはひとつもしていないんです。逆に自分が「これは大変だ」と思ったらやめてしまう。例えば、90年代のパソコンブームの時に、「パソコンを買った、これで表計算ソフトやデータべースでしっかり情報が管理できるようになる」と、みんな意気込んだ。でも意気込んでも大体3日でやめてしまう。みんなやりたいこと、やらなくちゃいけないことがたくさんあるわけですよね。その時に面倒くさいことってやっぱり後回しになる。僕自身もそうでした。では、生き残っていることは何かというと、作業が終わるのに2~3分で済むことしか残っていないんです。本の自炊も、スキャナーがスキャンしてくれるのを10分間放っておけばいいわけですよね(笑)。その後のデータも、別にきれいに整理して取っておくということではなく、単にファイルごとにフォルダーに入れているだけ。
 そもそも、僕はものすごく字が汚いんですよ。字が汚いので、スケジュールとかを紙に書いていると、自分で見ていて嫌になるし、覚えていられない。例えば、本日何時にアポイントがあったとして、「この人は誰々さんだっけ」とか、「どこを呼び出すんだっけ」とかは、本来きちんと覚えていないといけないし、メモしておかないといけないんだけど、できないんです。僕自身がスケジュールを電子機器に書き始めたのはたぶん95年とか96年ですね。それは単にその方がきれいに見えるし、便利だから。

――それ以前はシステム手帳を使われていたんですね。


西田宗千佳氏: バブルの前期のころ、システム手帳がはやったんですよ。あの時はなんだかかっこよかった。高校時代から手帳に細かいメモを書いたり、スケジュールを書いたりしていたんですが、大学へ入ってアルバイトをし始めて、ライター業も始めると、スケジュールがたくさんあってぐちゃぐちゃになってきて、汚くて嫌になってくるのでデジタル化したんです。デジタル化してしまうと書き直しもないし、移動も楽です。「よく全部デジタルで管理できますね」といわれるけれど、私にとっては、こっちの方が圧倒的に楽なんです。さらにもっと楽になったのは、Gmailが出てきてからですね。Gmailで入ったアポイントを転記はするけど、詳しいことを書かなくてよくなった。移動中にGmailを開いてアポイントの名前をちょっと入れて検索すると、「誰々さんが何時、担当者はこの人だ」と分かる。昔はそれを紙に印刷して持って行かなきゃならなかった。

紙が楽だ、と思う人は、それでいいと思うんです。無理にデジタル化する必然性なんてない。それは自炊についても同じで、紙の方が楽だったら積んでおけばいい(笑)。自分でやるのが嫌な人は、BOOKSCANさんみたいな業者を使うのもひとつの方法だし、それで悪いことなんて何もないんですよ。

機器を使いこなす必要なんてない。1割でいいんです


――西田さんが自炊をされる理由というのはあるんですか?


西田宗千佳氏: 僕が自炊するのは、自分でやるのが楽だから。大切なのは、「その人にとって楽なのは何か」ということだと思うんです。僕にとっては、「IT機器を使って、できる限り手で書かない」というのが楽だった。しかも一日の中で何秒かずつ、ポコポコと使っていく方が面倒くさくない(笑)。例えば名刺をいただきます。全部の名刺をきちんとデータベースにするのは大変なので、「この人は後から連絡する人」「そうじゃない人」に分けて、そんなに連絡しない人は順番に箱に入れる。連絡を取る人は名刺の写真を撮ってEVERNOTEに入れる、それだけなんですよ(笑)。そうすれば検索できるじゃないですか。それだったら1枚撮るのに1分かからない。こういう風に「自分が楽なのはどういうやり方か」 しか僕は考えていないですね。「IT機器を使ってどんな風に素晴らしくなりましたか?」 と質問されると、むしろ家の中は汚れ放題だし整理もできていない(笑)。本もだんだん増えていくので、自炊していても文庫や新書が増えなくなっただけ。最近は電子書籍の分析をしなきゃいけないとかタブレット機器を見なきゃいけないので、機械の量がどんどん増えていますね。部屋が狭くなる一方です(笑)。僕自身が効率的な仕事をしているかというと全然そんなことはない。むしろ、もっときちっと管理をして、紙をはさんで、ノートをきちっと持ち歩いてという方の方がよほどしっかりしてらっしゃると思うんです。でも、僕自身はこれで十分楽です。

――IT機器をご自身の手足として十分ご活用されているということですよね。


西田宗千佳氏: それはそうですね。「私、ITを使いこなしていなくて」と皆さんおっしゃる。全部使いこなす必要なんてないです、1割でいいんです(笑)。何かの電子機器を例えば5万円で買ったとしますよね。全部の機能を使わないと元を取った気がしない、と言いますけれど、その人にとって便利だったら1割の機能で十分なんですよね。そういう風に考えると、「いやあ、スマートフォンを買ったけども電話にしか使ってなくて」というけど、十分なんですよ、電話なんだから(笑)。

本当にマニアックな素人の方にはかなわない


――機械の量がどんどん増えているということですが、一般の方が機器を購入する時と比べて、西田さんが購入する際はどういった違いがあるんでしょうか?


西田宗千佳氏: 買う時は、「たぶんこれは仕事で取り戻せる」と思っているので、仮に使わなくなる可能性があっても買っていますね。機械を買って使ってみて、「やっぱりダメだった」ということがあっても、僕らはそれを記事に書いたり情報として発信することによってお金をいただける。でも、普通の方は「これやっぱりゴミ製品でした」というのは、ブログのネタにしかならない(笑)。もしくはライターという職業だと、メーカーに借りて使うこともできますので、そういう意味では恵まれています。逆に自分で手に入れて毎日使っているものに関していえば、僕よりもずっと日常的に使いこなしていらっしゃる一般の方は大量にいらっしゃる。すごく単純な話で、やっぱり本当のマニアの方だとか、技術者の方だとかに比べると僕らは何も知らないんですよ。時間的制約やコスト的制約がありますから。仕事として、効率良く情報をまとめないといけない。僕が知っていることは、最新情報ではありますが、ある範囲でしかなくて、使いこなしの話などになると、本当に好きでたまらなくて、ゼニカネは関係ないという、マニアックな方にかなわない部分もある。これはほとんどの世界でたぶんそうだと僕は確信しているんですけれど、最終的にプロは「ものすごいアマチュア」にかなわないんです。だから、そういうレベルの方はリスペクトしなくてはいけない。

文筆家にとってのノウハウがすべての人にとってのノウハウではない


――IT機器以外にも何かを極める人っていらっしゃいますよね。


西田宗千佳氏: ビジネスや仕事の効率化という話に関しても、効率化するということについてものすごく一生懸命考えておられて、それが趣味であるという方や専門に書いておられる方はやはりすごい。でも、それをすべての人がまねようとしても、99%が無理なんですよね。だとしたら、僕も含めた普通の人たちができる範囲っていうのはこんなもんだよねっていう割り切りが必要。僕自身仕事術本なるものも出したことがあるんですね。でも企画段階で、僕は編集者に「仕事術本は嫌です」といったんですよ。僕はフリーランスのジャーナリスト・ライターのための仕事術を知っています。でも営業マンの方の仕事術だとか、技術者の方の仕事術とは違う。



さらにいえば、一流企業のトップが「私はこんな風に仕事をしています」というのを聞いて、入社したての新入社員の役に立つかというと、絶対無理です(笑)。そもそも、そういう本の存在が矛盾しているんですよ。でも、編集者は「あなたがどういう仕事をしているかを読みたいんですよ」と言うわけです。「仕事術というものを求める人はそれでもちろん効率化したいと思っているんですけれど、それ以上に、こういう人たちはどんな仕事の仕方をしているのかというのを知りたいんだ」と。そう聞いたら、なるほどなと思ったんです。だから「僕の立場ではこういう感じですよ、たぶんあなたの立場ではこういうことなんじゃないですか」という話はできる。そういう風にはしようと考えています。普段「お薦めの機種はどれですか?」とかそういうことを聞かれることも多いんですけれども、その時にもそういう答え方をさせていただいています。

編集者と「壁打ちテニス」ができないと原稿が書けない


――西田さんにとって、編集者の役割はどのようなものですか?


西田宗千佳氏: 僕は「壁打ちテニス」ができないと原稿が書けないんです。というのは、例えば僕が何か面白いと思ったものがある。「これ、すごく面白いと思うんだけど」と思って原稿を書いても、読んでいる人にはつまらなくて、ポカーンとしているかもしれない。もしくは「ここがわからない」と思っているかもしれない。編集者が壁になってくれれば、壁にボーンと当てて「はい、面白かったです」とか「ここ、この方がいいです」とか返ってくるわけじゃないですか。返ってくることによって、自分が書いているものが正しい方向に進んでいるか、もしくは面白い方向に進んでいるか分かる。世の中には編集者の方がいなくても自分で全部できるという方もいらっしゃるんですが、僕は編集者がいないと何にもできないです。

――二人三脚で作られていらっしゃるんですね。


西田宗千佳氏: いや、そのへんは微妙ですよ(笑)。編集者の方がいて、「自分をぶつけていること」が大切なんですよ(笑)。特定の誰かに依存しているわけではないです。やりやすい編集者の方は、直す・直さないにかかわらず自分の意見をいってくれる方で、やりづらい編集者の方は受け取ったままレスポンスがない方。キャッチボールはどうしたの?、投げてこないのかなっていう時はやっぱりあります。

――西田さんにとって、キャッチボールができる編集者が大切ということでしょうか?


西田宗千佳氏: いい編集者の方・悪い編集者の方みたいな言い方をよくされていますが、それは人によってまちまちだと思うんです。例えば日本語のテクニックとか、企画力がどうかとか、売る時に努力してくれるかどうかとか、いろいろ問題はあります。でも僕にとっては、きちんとキャッチボールが成立する方がいい編集者で、キャッチボールが成立しないで「原稿をもらっていきました」、「本を出しました」というだけの編集者の方は、いい編集者だとは思っていないということですね。どの物作りの現場を見ていてもそうなんですけれども、最初に思ったものが、そのままいいものとして世の中で受け入れられることってほとんどない。どこか欠陥があるんですね。欠陥をキャッチボールしながら開発の現場で直して、結果いいものが出来上がって世に出ていくわけです。それは本に限ったことではないのかなとは思っています。

日本の電子書籍は「そろそろ助走しないで踏み切れ」


――電子書籍についてはどう思われますか?


西田宗千佳氏: よくなったと思いますよ。陸上競技の幅跳び競技でトラック2周分ぐらい助走しているような状況だと思うんですよね。「お前そろそろ助走しないで踏み切れよ」って話はあるんですけど(笑)。日本の書籍のシステムを考えた時に、一番面倒くさいのは権利を取得するための手間の問題です。みんなお金がもうかるって分かっていれば一気に行くんですけれど、まだまだもうかるか分からない。だからなかなか突っ込めない、というのがここ2年間だったと思うんですね。それが少なくとも、大手の出版社に関しては、「もう電子書籍を出しません」という話はほとんどない。

要はそれをいつ出すかとか、出すための手間がどうかだとかそういう話になってきている。2004年にSonyがLIBRIe(リブリエ)を出して、PanasonicがΣBook(シグマブック)をやった時っていうのは、出版社はまさに「けんもほろろ」だったわけですよ。うまく軌道に乗っていれば、今ごろ日本はKindleだ何だなんていわれることはなかったんです。あの時に比べれば2010年はちょっとマシになって、いまはさらにはるかにマシになっている。

――ではいつまでも離陸しないでダメじゃないかと。


西田宗千佳氏: AmazonがアメリカでKindleを成功させるまでに何年かかっているかというと、2年半かかっているんです。2007年にビジネスをスタートして、きちんとKindleが売れるようになるまでに最低1年半。2009年、2010年になってやっと売れるようになったんですね。Kindleって、最初は「今年出た一番買ってはいけない商品」とかに選ばれているんですよ。初代って本当にひどかった。それを少しずつ改善して、出版社との関係も出来上がって本が集まって、「こうやって本を買えば楽なんだね」というのが分かって、2010年になって明らかなブレイクを見せて、2012年にはある程度定着しているという流れです。向こうも2~3年かかったんだから、日本が2~3年かかるというのはしょうがない部分はあるなと思います。もちろんそれは情けない話だとは思いますけれども、だからといって「あいつらは何もしてない」とは言えない。抵抗している人もいない。

電子書籍の現場を取材していて、一生懸命作ろうとか環境整備をしようとしている人たちがたくさんいるのを知っているわけです。2011年の末と2012年の8月を比べると、出ている本の冊数だとかバリエーションは全然違う。だから、この2年間は無駄じゃなかった。ただ、そんなにアップするためにトラックを走らないでもいいでしょ、という状況ですよね(笑)。



雑誌・新聞の電子化は5年から10年の間に大きなチェンジがあると思う


――西田さんは最先端で色んなものを見られていると思いますが、今後電子書籍はどんな風に進んでいくと思いますか?


西田宗千佳氏: いきなり電子書籍ブームが来て、紙の本の何倍も電子書籍が売れるようになるということは絶対にない。それはなぜかというと、日本がアメリカより狭いからなんですよね。アメリカは本当の田舎に行くと、車のガソリンが切れたら死ぬような場所なわけですよ(笑)。町にある店っていったら、いろいろなものが複合になったよろず屋みたいなものしかないというところがたくさんあるわけですよね。本を買いに行こうと思っても車に乗って1時間かかる場所にあったら、誰も行かないじゃないですか。だからこそAmazonで宅配してもらうのが成功したし、電子書籍によって60秒で本が国中で買えるというのが成功した。でも、日本はまだ駅を降りれば本屋がたくさんあるわけです。田舎でも車に乗って15分の場所に本屋がある。

だとするならば、機械を買って本を買うという人は、まず本が好きな人しかいないだろうなと。夜中にTwitter見ていて「この本面白そうだな、欲しいな」と思った瞬間に買えないといけない。いままではそれがAmazonをクリックして1日後に紙の本が届く、という形だったのが、瞬時に届く電子書籍に変わっていくということはあり得る。それによって、本の10%とか20%とか、比率が何年でどのくらいになるかというのはいろいろあると思いますけれども、電子書籍が普及していくのは間違いない。じゃあ普段本を買う人のほとんどが「もう電子書籍しか買わないよ」という時代がすぐにやって来るかというと、人間そんなに簡単じゃないよねとは思います。

――紙がなくなることはないと思いますが、本以外はどうなのでしょう?


西田宗千佳氏: 例えばアメリカに比べると、手紙の流通量も実は日本ってそんなに少なくないんですよね、年賀状があるから(笑)。手紙ってほとんど電子に移行したんだけど、それでも紙って残っているわけですね。だから本もたぶんそうなんですよ。他方で、明らかにこれはもう紙でやっている方が面倒くさいでしょ、というのがたくさんあるわけです。雑誌と新聞はそうですよね、特に新聞はそうだと思います。雑誌については、日本の場合は雑誌の美しさというのがあるので、あのクオリティーだとか価値っていうのを全部電子に移すというのは、まだなかなか難しいかなとは思います。でも、情報誌・ニュース誌に関しては、電子化してしまってもいいのかなと思いますね。逆に、ネットに載っていないニュースは「世の中に存在していない」と見られがちなんです。

たぶん新聞・雑誌のデジタル化・電子化というのは淡々と進んでいく。もっというと「紙で売ってももうからないから電子にしないとしょうがないよね」となっていく。広告のほとんどは電子に移行するから、広告収入を取りたいんだったら電子に行かざるを得ない……という話には、数年以内、どんなに長く見ても5年から10年の間になる。その間に大きなチェンジがあると思います。でも、本については5年たっても、20%がいいところかもしれないですね。10年たっても25%とか30%とかそんなものかもしれないです。でもそれで、夜中に「俺はいきなり『エリア88』が一気読みしたくなったんだ』という時に客を逃がさないようになる。いま実際に電子書籍で成功しているeBookJapanなどを見ても、まず成功してるのは「まとめ買い」です。まずそういうところから着実に増やしてくることになるのかなと僕は期待しています。

電子しかできない形もあるし、むしろ電子しかできない売り方に注目


――電子書籍の販売方法は紙とは違った形で進化していくでしょうか?


西田宗千佳氏: 中身は、紙と同じものかもしれません。でも売り方は違うでしょうね。本屋さんでPOPがついて平積みされて「これがベストセラーです」、もしくは「これが書店員さんのお薦めです」といっているのが、いまの本の売り方ですけど、電子でそれが再現されるわけじゃない。極論をいうと、画面の中にはたかだか20個か30個のアイコンしか並ばないので、店としてはすごく狭い(笑)ところが紀伊國屋書店のきちんとした店へ行けば、パッと視界に数千冊入ってくる。紙と電子では売り方は全然違いますよね。「まとめ売り」されても、紙だと持って帰れないし、店舗に在庫も置けない。だから電子書籍で売る。電子書籍で「まとめ買い」したら、じゃあ10巻セット全部買ったらポイント5倍つけましょうと。本1冊分ぐらいポイントで返ってくるから、じゃあ買ってみようかなと思う人もいるかもしれない。

もしくは、「本日タイムセールです、今日24時間に限りこのシリーズ全部半額にします」とかっていうフェアをやることもできる。実はこれ角川さんがやったんですよ。タイトル名は忘れました が、ライトノベル二十何冊のシリーズを24時間1時間ずつに分けて、1巻ずつ「この時間は何巻が半額、この時間は次の巻が半額」というのをやったんですね。それで24時間マラソンをやって、マラソンについて来た人たちは全巻半額で買えるというキャンペーンをやったんですよ(笑)。

――面白い売り方ですね。


西田宗千佳氏: そういう売り方ってどんどん出てくる。逆にそのぐらいしないと、電子書籍で買ってもらう価値というのはそんなにないと思うんですね。むしろこれは電子でしか読めないから、ということでできることもある。僕もメールマガジンをやっていますけれど、僕のメールマガジンって近況が書いてあるわけじゃなくて、1万数千字の短い電子書籍が送られてくる感じなんですね。要は新書の1章分くらい。それは電子書籍を定期的に買ってもらっていると思っているんです。1万数千字じゃ本にならない。じゃあ紙の雑誌に1万数千字で載るかって、普通載らないわけです。映像が入ったり音が入ったりと、電子書籍でしかできないことってたくさんあると思うんですが、同様に「ものすごく長い」「紙だと本にならないくらい短い」というのも、電子書籍じゃないとできない。僕は「形」より、むしろ電子書籍じゃなきゃできない「売り方」の方が注目だと思っているんですね。それはどういうことかというと、人って意外と保守的だと思っているからです。

電子書籍を作っている人の間の「電子書籍中二病」


――確か本にも「人は保守的だ」と書かれていますよね。


西田宗千佳氏: はい。90年代にマルチメディアが出てきた時、多くの人がものすごく期待したんです。ディスクの中に色んなコンテンツが入って、映画でも本でも何でもない、ものすごいものが出来上がると思ってみんな期待したんですね。でも普通の人が期待したのは何かというと、それでエッチなビデオが見られることぐらいだったんですよ(笑)。でもそんなもんなんですよね。本がものすごいハイクオリティになってアプリケーションのようになったといっても、人が読みたいのはあくまで「本」かもしれない。保守的だとすれば、要は単なる本なんだけど、「買い方」はいままでの紙の本とは違うよね、っていう方が、ユーザーにはすんなりと受け入れられるんじゃないかなと思うんです。「紙の本と同じ形をしていてはならない」という主張を、電子書籍を作っている人の間では「電子書籍中二病」って呼んでいるんですけど(笑)。

――それはどういったことでしょうか?


西田宗千佳氏: 電子書籍をスタートしたとか電子書籍に注目し始めると絶対いうんですよ、「やっぱり紙の本と同じ内容で同じ形じゃつまらない、ページをめくっているだけの電子書籍なんて電子書籍じゃない」って。でも、読む人が求めてくれなかったらそんなの意味ないんですよ。それでもいいけど、気がついてみたら「これは電子じゃないと売れない形だよね」とか、「ちょっとしか違わないんだけど、これ電子書籍だからできることだよね」っていう風に少しずつ変わってきた。そうやって長い時間をかけて、電子書籍も変わっていくんじゃないかなとは思います。そもそも、ウェブと電子書籍って実際にはそんなに境目がないんです。コンテンツそのものでお金が取れるのが電子書籍で、広告でしかもうけられないのがウェブだと思っています。それしか違いはないです。という風に考えれば、そのへんはたぶん地続きで一緒になって、ゆっくり変わっていくんだろうなと思います。

人がいつ、どういう形で読みたいかの選択肢を提供してあげることが一番


――ユーザーにとって何が大切かということをまずは理解することが大事でしょうか?


西田宗千佳氏: その人にとって何が大切かということですよね。アメリカなんかだと本を買うとき、色々形を選べるわけですよ。Amazonに行くと、紙版・普通のハードカバー・ペーパーバッグ・文字が大きいバージョン・オーディオブック版・電子書籍版、全部並んでいる。その中で、僕は移動中の車の中で聴きたいからオーディオブックが買いたい、僕は老眼だからでかい文字版が買いたい、僕は電子でいいから電子書籍版を買いたい、という風に、自分のスタイルだとかニーズによって選んでいる。でも中身は本ですよね、あくまで読みたいのはストーリーだったりするわけですよ。だとするならば、その人がいつどういう形で読みたいかということに対して選択肢を提供してあげることが一番で、全然違うものを「俺たちが考えたすごい球だ」といって投げるのが本当に適切なのかというのは、ちょっと分からない。

少なくともアメリカにおいては、そういうものすごい球というのは全然受け入れられなくて、結局Kindleの、すぐ買えることであるということが受け入れられたんです。日本でも来るとすれば、もしかするとそれに近いところかもしれないです。読者の人たちが一番求めているのは何なのかということですよね。どういう形であれ、やっぱり「自分が欲しい本をとりあえず目の前に持ってきやがれ」というのが、本読みの本音だと思いますね。だからできる限り僕自身としても、本を出したら「これは電子書籍版をできる限り近いタイミングで出してくださいね」とか、「色んなところで売ってくださいね」というお話はしていますし、そのために出版社の方と一緒に協力していただけるように努力はしています。

本読みからライターの道へ


――西田さんのこれまでの読書遍歴などもお伺いしたいと思います。


西田宗千佳氏: 僕はずっと理系で、大学では数学をやっていたんですけれど、小さいころからずっと本ばかり読んでいたんですね。小さい時には学研の「ひみつシリーズ」で育って、小学校で一通り児童文学を読んで、中学・高校あたりでミステリーとかSFにハマって、人生を踏み外すという本読みの典型例で。根拠なく高校ぐらいの時から僕は文字を書いて暮らすんだと思ったんです(笑)。別にそれは何かものすごい自信があったとか、根拠があったとかではなく、単にそう思っていた。大学で、金のかかるハンググライダーというスポーツをやっていたんですけれど(笑)、お金もなかったのでいいアルバイトを探さなきゃいけなかった。それで、たまたまパソコン雑誌の編集のアルバイトを経て、ライターを始めたわけですね。IT業界のいろいろな話を聞いていくと、ものを作っている人たちってこんなに面白いんだとわかって、特に取材モノが好きになったわけです。それでどんどん取材をやるようになっていった。

――取材されて記事を書く際、意識されていることはなんですか?


西田宗千佳氏: 人に何かを紹介する時に、「これを人に薦める理由は何なのか」というのは必ず問われます。新製品だから薦めるわけでもなく、安いから薦めるわけでもなくて、「何か理由があって薦めるんだよね?」と。だとすると、これを薦める理由は何なのかということを必ず書く、ということは意識しました。そう考えると、これを作った人たちの考えていた本質は何かだとか、これを売りたいと思った人たちの本質は何かというのを、やっぱり自分なりに考えなくてはいけないですよね。

もうひとつ僕自身が気をつけていることがあるとすれば、「僕がいっていることは常には正しくない」ということです。僕というのは別に何かのオーソリティーでもなくて、人から聞いたことに、自分の考えを加えて伝えている人にすぎないわけです。だとすると、いったことはもしかして間違っているかもしれない。それはほかの新聞に書いてある記事でも全部そうだと思っています。だからこそ、自分がいったことに自信を持たなきゃいけないので、ある程度自信が持てるように考えたり取材したりするわけです。でも間違っていたら、すぐに、「ごめんなさい、間違っていました」っていわなきゃいけない。そうやって間違っていたら直すという気持ちでいると、本当にその人たちがいいたい本質と、自分が本質だと感じることが一緒とはいわないまでも、30度くらいのズレの中に入る。そのぐらいにはしたいなとは思っています。

少なくとも何回も作った人たちに話を聞いたりしていると、なんとなく正解に近いものが分かる。それは初期に訓練されたんだと思っています。だから、取材に行かないで書くのは嫌なんです。現場に行ってその人に聞いてみないと本当のことは分からないし、自分が納得することができない。だから僕はキュレーション的なことはしない。それはとても大切なことで便利なことだとは思いますけれど、僕がやることではないし、別の人でもできる。僕がやるんだとすれば、とりあえず自分が聞ける範囲・やれる範囲で人に聞いてこようという風に思っています。

必要なことをするために、どうでもいいことを効率化する


――効率化を図る中で、取材することは人によっては面倒くさいと感じるものですよね。


西田宗千佳氏: 圧倒的に面倒くさいですよ(笑)。逆にいうと、面倒くさいことに時間を使うために、どうでもいいことを楽をする(笑)。あとはお分かのように、単純に僕はしゃべったり人に話を聞いたりするのが大好きなんですよ。「口から先に産まれたよね、あんた」ってよくいわれるくらいなので。要は相手の話を聞くというのが大好きなんですね。だから取材は死ぬほど面白いので、これをやめろといわれたら、もう生きていけないと思うぐらい。逆に取材だけして原稿を書かなくてよければ、こんなに楽なことはないのに、というのが本音です(笑)。苦なのは取材にお金がかかることくらいですね。例えば最初の『iPad vs. キンドル日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏』(エンターブレイン刊)を書いた時にもアメリカに行かなきゃいけない。アメリカに行く取材費を出版社が出してくれたわけでもなんでもない(笑)。それでも、実際に見たり聞いたりしてこないと分からないよね、と思ったから行ったんです。そういうことに関して年間いろいろなお金が出ていくのがつらい、でもそれはしょうがないよね、というのが正直なところですよね。

世界を相手にこんな風にバカみたいに戦った奴らがいると覚えておいてほしい


――最後に読者に向けてメッセージと、今後書きたいテーマをお願いします。


西田宗千佳氏: この本(『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』)についてはですね……。「日本ってダメだよね」って最近いわれるじゃないですか。ダメなんですよ、ダメなんですけど、昔頑張ってこんなに成功した人がいて、その人たちの血というのは色んなところに生きているんだよっていうのは理解してもらいたいと思うんです。その時の人たちは、ものすごく高い意識で仕事をしていたんです。そういう人たちの考え方に触れることで、読み終わった後に元気をもらえるんじゃないかと思っています。少なくとも僕はどんなに失敗の話を聞いていても、取材が終わった後に毎回元気をもらっていたんですよね。なので、この本を読んで「頑張るとまだ何か面白いことがあるんだ」という風には思ってもらえるといいかなと思っています。ゲーム機の話を書いた本ですけど、ゲーム機がどのくらい売れたかというよりも、世界を相手にこんな風にバカみたいに戦った奴らがいるというのは覚えておいてもらいたいです。

――これから書きたいテーマなどは決まっているのですか?




西田宗千佳氏: 直近のネタは秘密です、というのが正直なところですけれど、個人的にすごく気になっていることは、「でっかいお金をかけてでっかいものを作る」のは、本当にもう古いのかな?という疑問はあるんです。例えば、メルマガのビジネスでは、千人とか2千人、千人も読者がいればすごいと思うんですけど、大量の読者がいなくても数百人数千人の読者からきちんとお金をもらえれば人は暮らしていける。音楽にしても、大規模なプロモーションを打たなくても、ファンに対してきちんとビジネスをやっていけばみんな食べていけるという考え方があると思います。でも僕らが日常楽しんでいるものってものすごいお金をかけたものもたくさんありますよね。例えば、ハリウッド映画ってバカにされるけど面白いじゃないですか。「ドラゴンクエスト」って、もういいやっていわれるけどやっぱり面白いじゃないですか。こういう風に考えると、そうやってたくさんの人が集まってたくさんのお金をかけて売るものが、いろいろ限界が来ているのは事実なんだけど、それってもう世の中でやっていけないのかな。要は小さい規模で回るビジネスと、でっかい規模で回るビジネスとの間って本当に何もないのかなとか、両方は一緒に成立しないのかなというのはすごくいま、気になっているところなんですよね。

――西田さん自身は小さい規模で回るビジネスの世界にいると思われていらっしゃいますか?


西田宗千佳氏: 僕はたぶん数百万部売るような作家には絶対ない。僕のようなノンフィクション、それも専門性の高いジャンルの人間が、何千万人もの人に本を買ってもらうことって、たぶんないんですよ。何千人かのお客様を相手に、僕は食っていかないといけないんですね、ずっとこれから。僕は小さい世界の住人であり続ける。でも、ほとんどのものを作っている人っていうのは、小さい世界で生きていくしかないんです。その小さい世界で生きていくしかない人っていうのと、でかい世界の人との間ってないのかな?ということは、まだよく分からないんです。そういう部分をこれから解き明かさないといけないのかなと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

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