西田宗千佳

Profile

1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、アエラ、週刊朝日、週刊現代、週刊東洋経済、月刊宝島、ベストギア、DIME、日経トレンディ、PCfan、YOMIURI PC、AV Watch、ASCIIi.jp、マイコミジャーナルなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、『ソニーとアップル 2大ブランドの次なるステージ』(朝日新聞出版)、『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』(講談社) などがある。

Book Information

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現場取材にこだわり、創り手の生の声を記事にする



パソコン、家電、IT関連のフリージャーナリストとしてさまざまなメディアで活躍され、8月に最新本も出版された西田宗千佳氏。取材をすることで培われたという多様な知識や行動力を踏まえ、西田氏独特のIT機器の使いこなし方とは、本や新聞などの電子化に対する考えとは、そして日本の電子書籍はどこへ向かうのか、多岐にわたって語っていただきました。

「漂流するソニーのDNA」の取材を始めたのは新人ライターのころ


――最近の近況とお仕事の内容について、ご紹介いただけますか?


西田宗千佳氏: 仕事の内容はフリーのライターです。ここ2、3年は電子書籍のことを書くことが多いのですが、電子書籍が専門ではなく、ITや家電業界の話を中心に書かせていただいております。毎年何冊か本は出版していますが、8月22日に『漂流するソニーのDNA プレイステーションで世界と戦った男たち』(講談社刊)という本を出しました。

――この本はどういった内容でしょうか?


西田宗千佳氏: これはPlayStation®を作った人たちの話ですが、日本でソフトウェアを動かすコンピューターを作ってビジネスにしていった人たちが、どんなことを考え、どんなところで失敗し、成功したかということを、当事者たちの言葉を分析して書いているドキュメンタリーですね。

――「取材20年」という風に書かれていますね。


西田宗千佳氏: 取材という仕事を始めたのが、PlayStation®がスタートした1994年末前後からなんです。本格的にトップのインタビューをしたりするようになったのが2000年前後からです。その部分をいろいろと話をまとめて、僕自身がかかわった十数年間で得たインタビューや取材の内容をまとめて書きました。もともとは4年前にこれの元本(『美学vs. 実利』)が同じ講談社から出ているのですけれども、だいぶ内容が変わっています。最初は文庫化にあたって、ちょっと書き足す予定だったのですが、先方が「どうせならば完全新作で出したい」という希望をお持ちで、好きなだけ書き直していい、と言われましたので、結果的に8割書き直しました。足した文字数だけで7万字くらいあります(笑)。普段は、週4日くらいは何かの取材に出て、その原稿を書いているというような生活をしています。

電車の中、スマートフォンで原稿を書く時もある


――西田さんは、執筆時は取材済みの原稿をご自宅でまとめられるのですか?


西田宗千佳氏: 自宅でも書きますし、移動先でも書きます。どこで書くかは、締め切り次第ですね。それに、自宅でだけ仕事をしていると煮詰まるんです(笑)。だから、ノートパソコンを持ち出して気分を変えて書くこともあります。電車の中でスマートフォンに内容のイメージみたいなものを書いている時もありますし、喫茶店でPCを開いて書いていることもあります。どこか座っている時でも立っている時でも、何かを書いている時間は長いですね。

――スマートフォンで原稿を書かれるんですね。


西田宗千佳氏: 携帯のテンキーで文字を書くのはさすがに無理なのですが、スマートフォンになってからは、いわゆるQWERTYのソフトウエアキーボードが使えるようになりましたから、それで普通にパソコンで打つ時の4割落ちくらいのスピードでは打てています。移動時間中のロスタイムがもったいないので、移動中にもいろいろなものを書いています。原稿そのものをきれいにスマホで書くのは難しいから、ざっくりとした骨組みを書く時間にあてたり。1000字程度のコラムだったら、その場で書いちゃうこともあります。

専門領域の家電やITは、最新情報を取材して発信する。本やニュースなど二次情報だけでは書かない。


――移動中にはお仕事のほかに何をされているのでしょうか?


西田宗千佳氏: もちろん読書はしています。ボーっとしているのがあんまり好きじゃないんですよ。移動中は音楽をずっと聴いているんですけれども、仕事をするか、読書をするか、ゲームをしているかです。自宅にいても、映画を見るか、仕事をしているかどちらかですね。本も1日に1~2冊は読みます。月に20冊か30冊ぐらいは読みたいと思っていますので、寝る前と移動中は読書をすることが多いです。

――お読みになるジャンルは家電やIT系でしょうか?




西田宗千佳氏: オールジャンルですね。逆に家電やITのことは、僕は「書く立場」ですから、ほかのライターさんの書いたものを読んで勉強していてはスピードでは遅いんです。もちろん、僕が知らないことは山ほどある。例えば原発問題についてよく知っているかといったら、通り一遍の知識しかない。で、知らなかったら本を読むしかない。もちろん、単純に本が好きなので、漫画ももちろん山ほど読みますし、小説もドキュメンタリーも読みます。いわゆる一般的なビジネス本も読みますね。だから読まないジャンルの本はそんなにない。僕も月に20冊30冊読む乱読家の一人でしょう。他人が本棚を見ると「こいつマニアックな本しか読んでないな」って思われそうですが。

文庫の小説と新書は買ったらとりあえず自炊するようにしています


――いまちょうど、本棚のお話も出ましたけれども、仕事場の本棚というのはどのような感じなんですか?


西田宗千佳氏: 棚というか、積んであるだけですね(笑)。整理するのが苦手なんですよ。資料になる本は付せんをつけながら読んだりするんです。付せんをつけたら箱に入れる、もしくはメモを取るみたいな形を取っていて、そうじゃない本、例えば漫画だとか小説などは、読んだらそのままバンバン積んだり、箱に入れるという感じですね。保存場所は足りないので、文庫の小説と新書については、買ったらとりあえず自炊するようにはしています。

――ご自身で裁断、スキャンをされていらっしゃるんですか?


西田宗千佳氏: 自分でやりますね。1冊10分から20分くらいでできるじゃないですか。逆に、漫画や雑誌など、データ化に高いクオリティーが必要なものは、時間と手間がかかるので自炊してません。買っている本の3分の1ぐらいが新書と文庫なので、買って数日のうちに紙がなくなって、データとして残っているという感じになります。考え方は色々ありますが、自炊して電子化した本の場合、「この部分をピンポイントで呼び出す」というのが意外と面倒くさい。物語的に読めるものは自炊しちゃっても何の問題もないですね。ページを順番にめくっていけばいいので、デジタルになっても楽だなという印象は持っています。

――では資料性の高いものというのはどうされているんですか?


西田宗千佳氏: 今の所は自炊していないです。ただ、データ化は大切だと思って「引用する可能性が高い」と思ったところは、読んでいる最中とか読んだ後に、この本の何ページにこんなことが書いてあった」くらいの話ですけれど、EVERNOTEなどにメモを書く。ウェブを見ていても、これはネタとして使えるなと思うものはEVERNOTEに入れて取っておきますね。

――電子化する時も何かをしながら作業をされているんですね。


西田宗千佳氏: 単純に時間が足りないからです。やはり連載をやっていたり、取材をしていたりすると、時間がどうしても足りなくなる。「仕事をいただけている」ということはありがたいのですが、「楽にするために人を雇えるか」というと、僕らのレベルでは雇えない。収入が3倍になれば誰かを雇って、その人にスケジュール管理と経理をやってもらうことができるかもしれないですけれど、普通のフリーランスは、ちょっと売れた程度では、そんなことをしたら赤字になってしまう。だから時間をうまく使って「ながら」でやるようにしています。

著書一覧『 西田宗千佳

この著者のタグ: 『ジャーナリスト』 『インタビュー』 『取材』 『フリーランス』 『コンテンツ』 『IT』 『立場』 『売り方』 『ドキュメンタリー』 『家電』

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