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世界中の本好きのために

竹本泉

Profile

1959年生まれ、埼玉県出身。日本大学経済学部卒業。和田慎二『銀色の髪の亜里沙』の影響を受けて少女漫画を描き始め、「なかよしまんがスクール」に2年間投稿。大学4年次の教育実習時に第21回なかよし・少女フレンド新人漫画賞佳作となった『夢みる7月猫(ジュライキャット)』にて『なかよし』1981年8月号でデビュー。 代表作に『あんみつ姫』『あおいちゃんパニック!』『あかねこの悪魔』などがある。
【公式サイト】
http://www.himawarihouse.com/

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作画はデジタルになっても読者には関係ない。仕上がったお話を楽しんでほしい。



『あんみつ姫』『あおいちゃんパニック!』『あかねこの悪魔』などの代表作で知られ、漫画家としてご活躍の竹本泉さんに、描き手側からみた本・電子書籍についてご意見をお伺いしました。

自宅の中の仕事場で、アイデアを練りながら創作活動を行う


――早速ですが、ここ最近のお仕事もご紹介いただければと思います。


竹本泉氏: 最近は、連載は月刊誌が3本に、隔月が1本ぐらいです。

――お仕事される場所は、ご自宅ですか?


竹本泉氏: そうですね。今は自宅の中に仕事場があって、そこで仕事をするというかたちです。デビューしてしばらくは実家で仕事をしていましたけれど、アシスタントを使う様になったころから仕事場を借りるようになりました。マンションに住んでいた頃は、自宅用と仕事場用に2部屋借りていましたが、今は一軒家です。

――締め切り前に原稿を仕上げるというポリシーがあるとお聞きしました。アイデアは描く前にあって描かれていらっしゃるんですか?


竹本泉氏: いえ、普通に遅れたりしています。そんなにむちゃくちゃに遅れない様にはしていますけれど、一時期はギリギリで仕事をしている時期がありました。ちなみに過去2回、原稿を落としたことがあります・・・(笑)。
アイデアは、結構普段から色々考えているので、描くときには「あれを使おう、これを使おう」と思って描くこともありますし、描き始めてから思いついたことでパッと描いてしまうみたいなこともあります。

――いわゆるネタ帳はお作りになっているのですか?


竹本泉氏: ネタ帳というか、ネームをするとき小さいレポート用紙に描いているんですが、そのレポート用紙に厚手の表紙がついていて、そこの表や裏にメモを書きます。ネームしているときにそのネームと関係ないことを思いついたりして、それを全部書きとめておいて、後でそれを見てまた新たに描いたりということがあります。昔はネタ帳を作っていたのですけれど、作っただけで満足して使わないので、ネタ帳そのものを作らなくなりました。だからメモをしておいて、たまたまそれを目にしたときに、「ああ、このネタで描こうかな」といった感じです。

妹が持っていた『りぼん』や『別冊マーガレット』がきっかけで漫画にハマる


――子供のころの読書体験をお伺いできますか?


竹本泉氏: もともと、少女漫画を読み始めたのは、妹が集英社の『りぼん』を買ってきて、それを読んで「少女漫画って面白い」と思ったのがきっかけなんです。ただ、『りぼん』のちょっと後に親戚の人が妹に買って来た『別冊マーガレット』に、和田慎二さんの「銀色の髪の亜里沙」が載っていたみたいなことがあって、それを読んですっかりはまってしまって。それが中学3年から高1にかけての春休みくらいでしたね。 それで妹は『りぼん』を買うというので、じゃあ自分は別マを買おうと言って、2人で『りぼん』と別マをずっと買い続けてしばらく読んでいました。

――それまでの間に、ご自身で漫画を読んだり描かれたりされていたのですか?


竹本泉氏: 子供のころに、石ノ森章太郎さんが好きだったんですよ。あと個人的には久松文雄さんの『スーパージェッター』(マンガショップ)とか『冒険ガボテン島』が好きだったんですね。 それが、昔の人の絵って難しくて、まねしても似せられないんですよ。というか、子供なので何を描いても上手く描けなかったんですけどね。そんなわけで、当時は誰かの模写をすることはほとんどありませんでした。その当時影響を受けていたのが、久松さんと石ノ森章太郎さんと横山光輝さん(笑)

――いつごろ、自分で描こうと思われたんですか?


竹本泉氏: ちゃんと絵を描こうとし始めたのは少女まんがにはまって以降です。漫画に関してはどう描いていいかよくわからなかってのもあって、描き始めたのは大学に入ってからです。
この頃、ものすごく参考にしたのが「少女まんが入門」(鈴木光明著 白泉社)。基本的に少女漫画の描き方の本なのですが、これで漫画の描き方の5から10くらいを勉強しました。ちなみに1から3は秋田書店の「マンガのかきかた」。3から6くらいはやっぱり秋田書店で石ノ森章太郎著「石森章太郎のマンガ家入門」。
ちゃんとしたものを1本描くというのはすごく時間がかかるというか、なんか大変な作業で、普段の日にはとてもできるとは思えなかったんですが、休みがあるときにがんばって描こうとか思い立ったんですね。大学は休みが長くて、春休みと夏休みが2ヶ月くらいずつあったので、そのときに描こうかと。大体16ページくらいのものを休み中に1本くらいずつ描きました。当時の話ですが、少年誌は年に1回の新人賞みたいなものはあったけれど、募集そのものがあまりなくて、少女誌の方が投稿する場が多かったんです。別マとかには当時、もう月刊の「まんがスクール」があって、そこで募集していたのが基本16ページの漫画でした。16ページなら何とか描けるかなと思ったし、まんがスクールは投稿して翌々月くらいで結果が出るんです。努力賞とか佳作を取った人がページに並んでいて、受賞作のカットも載っていました。それで、「ここに載りたいなぁ」みたいなあこがれがありましたね。おまけに投稿すると、プレゼントがもらえたりしたんです。複製原画や、雑誌特製の漫画原稿用紙、コマ割りスケールといって、透明のプラスチックの大きな原稿サイズの板なんですけども、穴を開けてそれに合わせて紙に線を引くと、ちゃんとコマが割れるみたいなものとかがもらえました。そういうのが目当てであっちこっちに投稿していましたね。

デビューして30年、読んで「気持ちいい」ネームのリズムが自然に身につく


――デビューされてから30年、何か描き手としての変化はありますか?


竹本泉氏: あるのかな。あるかって言われたら絵を描くのが速くなったりとかとかいうことはありますね。話作りにも変化はあるんですよね。昔は結末ありきで、そこに向かって話を組み立てていくようなかたちで作っていたんですけども、やってるうちに、描いていて、かつ読んでいて気持ちのいいネームが書けるようになりました。リズムなんです。それを意識し始めたのが10年ちょっとくらい前です。エンターブレインの『コミックビーム』で連載していた読み切りものの連載があるんですけども、そのときに結構、「これはリズムで描いているなぁ」ってちょっと意識し始めました。変な話なんですけど、あんまり話が無くても読むと面白いんですよ。あと、しばらくして忘れたころに読んだらやっぱり面白い。もちろん読者が読んでどう感じるかはわからないんですが、作者的には読んでいて気持ちのいいリズム? みたいな・・・。

――そういったところが、長く読者に受け入れられていると思うんですけれども、原稿を描く上で、読み手側を意識することはありますか?


竹本泉氏: 基本的に昔から、読者自体を意識するっていうことはあまりなくて、直接読んでくれる人を意識して描いていましたね。この場合は担当の編集さんなんですが、話の落ちの担当さんの反応をみるのが楽しみというか。なので「これはどういう話なの?」って最初に聞かれるのがいやで。説明しちゃうとネームでびっくりしてもらえないので。そんなわけで、いつも直接読む人メインで描いていて、あんまり読者のことは考えていないんですよ。でも、最近は担当さんと直接会わなくなってしまったんです。作画がデジタルになったら毎回の打ち合わせが電話になってしまったので(笑)。目の前でネームを読まれるとかいうことが無くなって、ちょっとフィードバックが足りないかなとは思います。

――初期のころは、どんなやり取りだったんですか?


竹本泉氏: 漫画家になってしばらくは、ネームを持っていって、それを見せて打ち合わせして、修正があると直して、そのまま作画みたいな感じでした。

――昔といまと比べて編集者さんとの関わり方も変わってきたんですね。


竹本泉氏: そうですね。以前は、読んでいるときの編集者の表情を見て、「ああ、この辺でうけている」みたいなところがあったんですけど、それがいまはもう無いですから。そういう時代の流れなので、仕方ないんですけどね。いまはネームを送って、その後に電話で、「ここは字が間違っています」とか、「これはどうなんですか?」「これはこうなんですよ」みたいな説明や打ち合わせをした後に、作画をしますね。すみません、これ、あまり時代の流れと全然関係ないですね・・・(笑)。

編集者について、あまり高い理想は持たない。


――制作において、何か理想の編集者像みたいなものはありますか?


竹本泉氏: いや、あまり理想は無いですね。いつも好きに描いちゃってるせいもありますが、編集さんは別にどんな人でも大丈夫だと思います。

――編集者と二人三脚で作られているんですか?


竹本泉氏: そこまでのことは無いですけどね。昔は修正はよく入りましたけど、最近は作風が特殊になってしまったので、好きにやらせてもらっています。ちなみに、話の内容やアイデアを編集さんに考えてもらうということは、昔も今もないです。 ただもちろん、編集さんの「ここは変なんじゃないか、ここはどうしてなの」といった指摘を受けて、「ああ、なるほど」とそこを直すと全然違う話になったりっていうこともあるので、編集さんがいらないというわけでは全然ありません。

読書は海外SF物から、歴史ものまで幅広く読む


――竹本さんは海外SF小説を読まれるのが趣味の1つだと伺いましたが、いまでも読まれますか?


竹本泉氏: 目が悪くなってきたので、いまは本をあんまり読まないですね。結構ピントを合わせるのに苦労するんですよね。読んでいて集中できないというか。読んだとしても最近は、SFはあまり読まずに、ノンフィクションの歴史物を好きで読んでいます。読み掛けなのが、プローデルの『地中海の記憶』(藤原書店)。評判が良かったんで、どうだろうと思って読み始めたんですけど、あんまり面白くなくて。おまけに作中の人物名や地名が覚えられない(笑)。大昔、ギリシャ時代とか地中海文明の話ですね。

――それはどんなきっかけで読まれたんですか?


竹本泉氏: 新聞の書評に載っていて面白そうだなと思って買ってみたんですけど、なかなか新聞の書評で買うと自分のセンスに合っていないことが多くて、ハズレることが多いです。本を購入するのはもう、ネットばっかりです。実物を見ないで買っちゃうので、はずれるんですが。たまに池袋とかに出ると、大きな本屋のジュンク堂へ行ったりとか、リブロに行ったりして、すごく色々買い込んだりが多いですね。山のように買い込んで送ってもらったりします。

――漫画本も買われますか?


竹本泉氏: 漫画本は、基本はいままで好きだった作家の本を買い続けていますね。新しい作家は何かのきっかけで発見しないとなかなか読めません。たまたま読んだ雑誌に載ってるもので読んで面白いと、その作者の本をたくさん買い込むみたいなことはあります。

――購入した書籍は仕事場に保管してますか?


竹本泉氏: そうですね。もう置く場所が無いので、床に積んであります。さすがに読まないなって分かると、捨ててしまいますが。若いころは文庫ばかり買っていて、そういう本は段ボールの箱に入れて納戸の奥に積んであるような状態です。

――本に関して、内容や装丁が、何か昔に比べてこんな風に変わったなと思うところは何かありますか?


竹本泉氏: 別に装丁とかはそんなに変わってないですよね。ライトノベルが増えたかなとは思います。本屋へ行くと、ラノベのコーナーがどんどん増えていくなと思いますね。

電子書籍は全く利用しないが、iPadで文字を拡大できるのは便利


――電子書籍関連のお話もお伺いしたいと思います。竹本さんの作品は、たくさん電子書籍として本に出されていると思います。竹本さんは、電子書籍を利用されたことはありますか?


竹本泉氏: いや、無いですね。まず、活字でなく漫画に関して言えば、紙で読みたいというのがありますね。やっぱり見開きのサイズが大きくないと。活字に関しては、リーダーが、まだどうだろうみたいな状態なので、試していないですね。目が悪くなってきて、iPadとかは拡大縮小がスムーズで便利なんですけど、長時間見ていると目が疲れる。あとiPadが便利でも、Appleのネット書店では、ほとんど日本の書籍は売ってないのでどうしようもないですよね。
最近、アマゾンのキンドルストアがオープンしましたね。とりあえずアマゾンの電子ぺーバーのリーダー、Kindle Paperwhiteも買ってみましたが、電子書籍はまだ数冊だけ・・・。充実にはまだ時間がかかりそうですね。

――iPadなどの端末で漫画を読む場合に、こういう風に読んでほしいという希望は何かありますか?


竹本泉氏: いや、とりたてては何も無いですね。とりあえず見開き単位で読んでくれれば。それだけ。ほかは何でもいいとは思いますけど。

――見開きという部分が重要なんですね。


竹本泉氏: それはもともとが紙の本を意識して描いているからですね。多分、電子端末用に仕事をする様になったら、あんまり見開きは関係なくなると思うんですけど。

紙の本にならないなら、見開きを意識して描かない


――今後電子書籍が普及していく中で、最初から電子として出すという依頼で漫画を描く場合は、紙で描く場合と変わってきそうですか?


竹本泉氏: 変わってくると思いますね。例えば、将来的に紙の単行本にならないというのであれば、電子端末に合わせて描くとは思うんですよ。見開き単位じゃなくて、1ページ単位で描いていくということですよね。

――いま文庫版の漫画もありますが、小さいと思われますか?


竹本泉氏: あれは若いころはいいんですけど、やっぱり年をとってくるとすごい目によろしくないですよね。

――同じ漫画を読んでても、文庫サイズのものと単行本サイズのものと、何か印象が違いますか?


竹本泉氏: 全然違いますね。読んでいるときの、視覚に占める面積の割合でしょうか。要するに、没入感が多分違うと思うんですよ。文庫だとほかのものがたくさん見えるので、冷静に客観的に見ているんですけど、大きな本だと視覚の大半を占めるから、没入して読めるみたいなことがあるんじゃないかと思います。だから、普通の単行本よりも、さらに大きいサイズの方が読んでいて迫力があるものもありますね。

――iPadでも、見開きでも読めますね。


竹本泉氏: そうですね。iPad見開きで表示すると文庫サイズくらいですかね。iPadは操作にストレスがないですし、画面もきれいなので、いいですね。重いし目は疲れますが。
目のことを考えると、大きいサイズの電子ペーパーのリーダーだといいのかと思うんですけど、ページの切り替わりがもうちょっとですね。普通の本って、読むときに1行ずつ読んでいるわけじゃなくて、大体3、4行まとめて、無意識に先読みしながら読んでいるじゃないですか。ページをめくるときに、前のページの終わりを記憶しつつ、次のページをさっと見るといったことをしているんですけど、その切り替わりが遅いと、そこでリズムが崩れる。

――次のページが表示されるまでの速度が適正かという問題があるんですね。


竹本泉氏: 切り替わりをなんとかしてくれると、電子ペーパーもいいかなとは思います。やはり電子ペーパーの省電力なところはすごい便利なんで、あれは旅行に持っていくと充電しないでも1週間くらい本を読んでられるなぁ思いますね。目も疲れないし。iPad miniは、小さいのは漫画には不都合なんですけれど、見開きじゃなくて単ページ単位で読むんだったら軽いし、いいのかなとか思いますね。いや、目は疲れるんですけどね。

電子の時代になると、漫画がフルカラーになるということも可能?


――竹本さんの作品は、これまで多く出版されていらっしゃいますね。読者の中には、書籍を手元に残しておきたけれど、スペースなどの問題から、書籍を裁断し、スキャンすることで電子化される方もいらっしゃいます。


竹本泉氏: 確かに30年もやってると、100冊越えたりしていますから、確かに100冊本棚に並べるのはちょっと大変だろうなっていうのはありますしね。

――竹本さんが描いていく上で、電子書籍に要望するものはございますか?


竹本泉氏: もし紙の本が無くなって電子書籍だけになったら、例えば漫画も一色じゃなく皆カラーになるという可能性もありますよね。ただ、リーダーがみんな電子ペーパーばっかりだったら、一色のまま残るだろうとは思います。その辺がまだ全然、やっぱり過渡期が続いてる状態なので、将来的にどうなるかは全然想像がつかないですね。カラーの電子ペーパーのリーダーが今のところ個人的には理想でしょうか。

――確かにそうですね。コストに関係なく全てカラーにできる。


竹本泉氏: 描き手としては、当然カラーより1色の方が楽なわけですけど。例えば漫画雑誌が最初からみんなカラーだったら、普通に当然のこととしてカラーで仕事してると思うんですよね。表現の幅は広がるとは思うんですが、どういう広がり方をするかは皆がやってみないと分からない。カラーが下手な人もいるし、なかなかカラーは難しいですよね。

デジタル時代になって、作画はいままで以上に時間がかかるように・・・


――今後こんな風に仕事をしていきたいという展望と、このインタビューを読まれる先生のファンに向けてメッセージをいただければと思います。


竹本泉氏: 展望はとりあえず無いです。ただ、作画がデジタルになってから、作画自体には逆に時間が掛かる様になってしまったので、その辺何とかできたらなと。なぜ時間がかかるかと言うと、等倍で描けないんですよ。要するに実寸で描けないんです。モニターの解像度の問題もあるんですけども、ちょっと拡大して描かないと滑らかに描けないんです。例えば、2センチの線を描くのに、タブレット上で10センチくらいの線を引いてるんですね。拡大して描いているので、小さな絵でも引く線の距離は長い。引く線が、全体的に1作描くのに、例えば1キロくらい線を引かなきゃいけないところを5キロくらい線を引いてるみたいなことがあって、逆に時間が掛かっちゃうんですね。その代わり、仕上げは楽なんですけれど。

――ではパソコン、コンピューターを使って作画されていらっしゃるんですか?


竹本泉氏: 去年からです。普通のアナログの原稿だと、スクリーントーンをはるんですけども、アシスタントさんにはってもらうために、原稿の上に水色の鉛筆で指定をするんです。たとえば「ここに10%のトーンをはってください」という指定を水色の鉛筆で原稿に書いていくんですが、その上からトーンをはると、最近は、印刷所の製版技術が上がってしまって、本来拾ってほしくない青色を拾って印刷されてしまうんですよ。それで、印刷所で細かく修正しているらしいんです。で、ある編集部から「水色は拾うから黄色で指定してくれ」と言われたんですが、黄色で指定すると今度は自分が見えないんですね。アシスタントさんも「これは指定が分からない」みたいな話になって。「じゃあデジタルにしようか」みたいなことになったんです。

――そうなんですね。もう描き手の側からもデジタルに変わっていらっしゃるんですね。


竹本泉氏: そうですね。最近は若い人はほとんど皆デジタルですね。若い子は、デジタルだとトーンを買わなくて済むのでトーン代が要らない。だから若い子はパソコンで作業していて、僕みたいに年の人がそろそろ切り替えるかどうしようか悩んでいるという感じですね。ここ10年くらいでデジタルの作画はずいぶん発展してきたんですけども、最近は結構すごくうまくデジタルでできる様になっています。描き味も、出来上がりもアナログと変わらないところまできているんですね。それで「じゃあ変えてもいいかな」ってことになったんですけどね。何年か前の作画のソフトの出始めの頃はソフトの内容が、まだいろいろ足りないという状態でしたから。いま、作画は色々なかたちでできるようになっていますけど、どんな作画をしたかっていうことは読者にはあんまり関係ない話ですからね。でき上がったお話が、読者に楽しんで読んでもらえればと思います(笑)。うじゃ。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 竹本泉

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