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世界中の本好きのために

原田泰

Profile

1950年生まれ。1974年東京大学卒業後、同年経済企画庁入庁、ハワイ大学、イリノイ大学に留学、経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長、大和総研専務理事チーフエコノミストなどを経て、現職。経済学博士(学習院大学)。著書は、『昭和恐慌と金融政策』『震災復興-欺瞞の構図』『日本はなぜ貧しい人が多いのか』『日本国の原則』(石橋湛山賞受賞)『人口減少社会は怖くない』(共著)『昭和恐慌の研究』(共著、日経・経済図書文化賞受賞)『都市の魅力学』『日本の失われた十年』『日米関係の経済史』など多数。

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資料は主に図書館で、書評のための本は書店で実際に手に取って選ぶ。


――ちなみに色々たくさんご自著を出されている中で、いわゆる参考資料も膨大なものになると思うんですが、どんな風に入手されていますか?


原田泰氏: 基本的な本は買いますが、資料とする本は図書館ですね。買っているとものすごい量になり、家もいっぱいになって困りますので。図書館って充実しています。大学はもちろん、日比谷の都立図書館も充実していますね。

――本屋さんに行ってふらっと寄ったりされますか?


原田泰氏: もちろんありますよ。書評を書いていますから。

――よく利用されるとか、お気に入りの書店はございますか?


原田泰氏: 前の職場の近く、日本橋と丸の内の丸善でしたね。それから、大手町にあるくまざわ書店は小さいのに気の利いた本が置いてあります。センスが良いなと思います。経済、社会、政治、歴史の新しい本が、目立つところに集中的に置いてあるので便利です。大きい書店は探さなければいけないけど、小さいところはそこだけ見れば良い。読みたいと思うような感じの新しい本が、ぱっと置いてあるというのは便利です。

――以前と比べて今の本屋ってこういう風に変化したなというのは、何かありますか?


原田泰氏: 大きい本屋さんが増えましたね。ただ大きいがゆえに、探すのに時間がかかりますね。今は授業準備で大変ですから、「大き過ぎる」と思うのですが、普通の時だったら、大きい方が便利です。何でもあるわけですから。八重洲ブックセンターはやっぱり一番大きいですね。そういうところに行けば、何でもあるから便利だというのはあります。

――インターネットを利用して本を買われますか?


原田泰氏: Amazonで買います。でも書店で買う方が多いです。参考文献を探していてちょっと手に持っておきたいとか、もう面倒くさいから書き込みしたいとか。そういう時は買います。

スマートフォンやパソコンでの資料の閲覧は最小限。メインはやはり紙。


――原田さんは、電子書籍を利用されることはありますか?




原田泰氏: 全然していないです。スマートフォンでニュースを読むのも読みづらいです。パソコンの画面でも読みづらいと私は思うので。スマホはこれどうしても、次の講演までに知っておかないと恥をかくとか、そういう時は見ますけど、基本は紙の媒体か、パソコンです。もちろん、電子書籍ならパソコンよりずっと読みやすいですが。

――では逆に、紙の良さというか、見やすさというのはどういったところにあると思いますか?


原田泰氏: 大きさと一覧性です。一覧性というのは、早くぱーって見られことです。読み飛ばしができる。もちろんパソコンだって読み飛ばしができますが、紙をめくる方が早いです。ただ、値段とスペースを考えたら、段々電子になるのではないかと思います。スペースの確保が大変です。自分で昔書いた原稿とか、原稿の途中段階とか、分析したものとか、講演資料とか、これを紙に落として持っていたら、ものすごい量になる。今は、全部パソコンに入れています。自分が書いたものは文章もグラフも色々分析したものも全部取ってあります。

――メモ書きなどはどうされていますか?


原田泰氏: メモはあんまりしません。執筆のためにメモを作りますが、手でメモを書いても半ページも書かないです。それでワープロで書き始める。ワープロなら、書いたものからワープロで書いたメモに戻る、行ったり来たりいくらでもできますから。

出版社も電子化には試行錯誤していると思う


――電子化が進むにつれ、書き手としての意識の変化はございますか?


原田泰氏: そもそもパソコンで書いていますから、意識の変化はあまりわかりません。電子書籍についてですが、図表のいっぱい入ったものも、時間がたってから「電子書籍にしますけど、良いですか」と連絡がきます。基本的には電子化にはOKです。

――個人が蔵書を電子化する際に、本の断裁をしなければいけないのですが、何か心理的に抵抗などはございますか?


原田泰氏: 自分はしませんので良く分かりません。電子書籍を読むなというのもないです。ただ、出版社もいつまでも紙だけで売っていけるかどうか不安に思っているのではないでしょうか。試行錯誤をしているという段階と思いますが。

――今、古本屋に流れた場合っていうのは、いつまでもその中をぐるぐると回って、出版社だとか、先生ご自身に何も入ってこないという現状がありますが。


原田泰氏: そういうことを考えると、電子書籍はダウンロードする度に課金することができるわけですからね。デバイスから動かせないとか、転送すると消えるとか色んなことができるでしょうから、ブックオフより良いかもしれません。

ちょっと立ち止まって考えてみて「おかしい」ことをきちんと指摘することが大切。


――これから読者にどんなことを伝えていきたいと思われますか?


原田泰氏: 難しいですね。根底にあるものは「これっておかしいんじゃないですか」って言いたいということですね。例えば、最近書いた『震災復興 欺瞞の構図』(新潮新書)であれば、震災復興でいっぱいお金を使っているけど、それが本当に有効に使われているのかどうか、ちょっと立ち止まって考えてみたら良いんじゃないですかと言っているわけです。それで、幸いにしてNHKが復興予算が全然関係ないところで使われているっていう特集を組んだら、注目を集めて、マスコミも注目をしてくれたんですが、マスコミが指摘しているのは、数100億、せいぜい1000億にもいかない様な金額の話なんです。けれど、震災復興予算は、19兆円、あるいはそれ以上使うって話なんです。ですから、もっと大きなところの無駄を指摘する必要があるのではないかと思うのです。それは別に、経済学の理屈をこねくり回しておかしいっていうのではなくて、ちょっと常識で冷静に見たらおかしいことがいっぱいあると言いたいですね。

――それを先生が書くことによって、少しずつ世の中の見方っていうのも変わりそうですか?


原田泰氏: 変われば良いですが、あまり変わりません。ずっと書いているのですが、全然変わらないという気がしています。例えば、「デフレはいけない」っていう話もずっと書いているのですが、それでも、全然動きません。やっと政治が少しは気が付いてきたのか、民主党にも自民党にも、デフレ脱却は金融政策の問題で、大胆な金融緩和をしなければいけないという話が段々と広がってきた。そうやってよくなればいいけれども、難しいところもあります。経済学の教科書には、インフレは金融政策で決まるって書いてあるのですが、日本には経済学の教科書が間違っているっていう経済学者がいっぱいいますから、困ったものです。もちろん教科書が間違っているのでしたら、大発見ですから、教科書が間違ってるっていうことを、きちんと分析しなければなりません。しかし、そういう人は何も分析していません。私が分析する限りでは、教科書が正しい。

――今後取り組んで行きたいテーマはございますか?


原田泰氏: まずは、まじめに授業準備をするということですね。次は、学者になった訳ですので、ある程度アカデミックな論文も書こうと思っています。3番目は「若者のための経済入門」の執筆と成瀬巳喜男の本ですね。他にも執筆予定の本が色々あって、どこまでできるか分かりませんが。

(聞き手:沖中幸太郎)

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