『ソース』を読んで、ワクワクさがしに目覚めた30代
――松橋さんと本との関わりというものはどのようなものだったのでしょうか?
松橋良紀氏: 幼稚園の頃から親が色々と読みきかせをしてくれていたので、自然に本好きになって、小学4年生から高校3年生までずっと図書委員をやっていました。
高校時代には、全校生徒からアンケートを集計して載せるとか、『図書館報』という新聞の制作に、ものすごく力を入れていたんです。その頃から何かを「発信する」ということは好きだったかもしれませんね。高校の時、新聞を作っていたのが楽しかったので、「ああやってまた文章書いて何かしたいな…」という思いは常にありました。
読書に関しては、5・6年生の頃、学級文庫に有名人の伝記のシリーズがあったんですよ。『エジソン』とかね。それを読むのが好きで、何十冊もあったのをとにかく全部読んだ。休み時間も読んで、それでも終わらないから授業中もこっそり読んでいた。だから内容は覚えていないけれど、その中の成功物語みたいなものが潜在意識に入っているのかもしれないですね。
――これまで読まれてきた本の中で、人生の転機となった本はございますか?

松橋良紀氏: 『ソース―あなたの人生の源はワクワクすることにある』(マイク・マクナマス著ヴォイス)という本なのですが、ヴォイスに勤めていた友達からもらったものなんです。この本を30代前半の時に、車の中に置いて暇がある時に見ていたんですが、それがきっかけで自分のワクワクすることを整理し始めたんですよ。書くことが好きだとか、しゃべること、教えることが好きとか。
その頃は、自分自身が何をやりたいのか分からない、という悩みがずっとあったんです。この本の著者は、「責任感を持たなくていい、やる気がなかったらやらなくていい、優柔不断でもいい、とにかくライフワーク、自分のワクワクすることをまず発見してみよう」というんです。
この本をきっかけで、やりたいことへ踏み出せるようになりました。それと、影響を与えてくれた本は・・・、男女関係でいうと、『ベスト・パートナーになるために』(ジョン・グレイ著・三笠書房)。あとは『神との対話』(ニール・ドナルド・ウォルシュ著 サンマーク文庫)。
スピリチュアルの本の中では、『神との対話』が一番面白かった。
最初買った時に、3冊まとめて買ったんだけど、「何じゃこりゃ、失敗した、全然面白くないな、当たり前のことしか書いていないじゃん」と思って放置していたんです。
それから5年後くらいかな、ある夜どうしても目がさえて「やばい、このままじゃ眠れない。明日の仕事が困る。あ、あの本を読むと眠れるかも」と思って『神との対話』をめくりだしたらもう面白くて。
同じ本なのに全然違うんですよね。
その時は、仕事がうまくいかないなとか、なかなか認めてもらえないなとか、ちょっと悩んでいる時期だったんですね。結局朝まで徹夜して読んじゃって、会社に行って休み時間に続きを読んでいたくらいです。
――最近読まれた本では、何かありましたか?
松橋良紀氏: 最近面白かったのは、『ザ・マネーゲームから脱出する方法』(ロバート・シャインフェルド著 ヴォイス)という本。
人生で起こっていること、全ては自分自身が作り出しているという説の本なんです。
例えば、今こうやって僕の目の前にインタビュアーとカメラマンのお二人が来ているけれど、これも自分が作り出している、というんですよ。
映画を見ていて「ああ作り物だな、おかしいな」っていうと、すぐさま気分が冷めるじゃないですか。そうならないように、本当にリアルに出来事が起きているように、自分自身が綿密に、今の状態を作っているというんです。
――まるでマトリックスの世界のようですね。
松橋良紀氏: ボーリングをして、満点の300点が出る。それが毎回毎回、間違いなく起きたら、つまんなくてボーリングをやろうなんて思わないでしょう。人生も同じ。全部が全部、うまくいくのがわかりきっていたら、ワクワクも感動もない。
肉体を持って生まれてきて、その人生を楽しむためには、人間関係のトラブルとかお金のトラブルなど、色々な障害を作り出さないと面白くない。
特にお金のトラブルに関してこの本は書いているんだけど、全ての問題は自分が作り出している。けれど、その現実を、自分が作り出していることを忘れてしまっているから、思い悩んだりする。今起きている全ての現象は自分が作りあげているという、その力を取り戻していこう。
そんな本なんです。
『ユダヤ人大富豪の教え』の著者の本田健さんが翻訳している本なんですが、スピリチュアルに詳しい人達の世界では非常に評価が高いんです。
僕が信頼し尊敬している人達は「ああいう本が出てきたというのは、新たな時代に入ってきているな」ということをよく言われますね。
コンビニやマッサージと同じくらい『聞き方』の達人を増やしたい
――最後に、今後ご自身の活動としてやっていきたいことをお聞かせいただけますか?

松橋良紀氏: 今後も、日本に聞き方の達人を増やしていきたい。
私が売れるようになったのは、とにかく人の話を聞くということを学び始めたからです。「聞く」ということには、とにかくいろんな技術があるんですが、まず基本はただ聞いてもらうだけで、本当にすっきりするということをたくさんの人に体験していただきたいんです。
本当に「聞く」ということができる人が増えれば、うつとか精神的にダメージを受ける人が減るんですよね。
日本にはカウンセリングの文化がない。アメリカでは1対1くらいでカウンセラーが付いているといいますが、日本だと、カウンセリングというと病気の人が行くようなイメージがするじゃないですか。病気じゃなくても、話を聞いてくれる人がいるというのはすごく大事なんです。
コンビニと同じくらい、聞き方カウンセラーと呼ばれる人を増やしていきたい。整体とかマッサージっていうのはあちこちにありますよね。マッサージは体が癒されるけれど、体を癒しても心の緊張・心のストレスが取れないこともある。「うつ症」の人は、100万人を超えているとか言いますが、薬を飲まなくてもちゃんと自分のことを分かってくれているなという人を確認できるだけで、ずいぶん減ると思います。
また、人間関係が苦手だったり、自信が持てないっていうのは、親子関係の影響が大きいです。子供の話を聞ける親が増えれば、子供の成長が大きく変わります。未来の子どもたちのためにも、「聞き方」を普及していきたいんです。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 松橋良紀 』