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世界中の本好きのために

杉井光

Profile

1978年生まれ、東京都稲城市出身。高校卒業後、フリーターを6年、ニートを3年経験。フリーター時代は、アマチュアバンドでキーボードを担当。特技は料理と麻雀。「火目の巫女」で第12回電撃小説大賞〈銀賞〉を受賞し、2006年にデビュー。著書に『生徒会探偵キリカ』(講談社ラノベ文庫)、『神様のメモ帳』、『さよならピアノソナタ』、『楽聖少女』(電撃文庫)などがある。

Book Information

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電子がメインの世界でも「物語」は消えない。ずっと求め続けられる



小説家であり、電撃文庫の人気作家である杉井光さん。お仕事でも漫画の原作に挑戦されたり、新しい取り組みにどん欲な杉井さんに、紙と電子書籍についてのお考えを伺いました。

ライトノベルの文庫の他に、漫画の原作や連載も手掛ける


――今、みなさんに近況をお伺いしているのですが、連載などのお仕事の内容も含め、お話しいただければと思います。


杉井光氏: 今は電撃文庫と講談社ラノベ文庫をメインにやっておりまして、あとは、まだ企画段階なので名前は出せないのですが、漫画原作の仕事や、一般向けの書籍などの執筆をすすめています。漫画原作は初めてですね。一般向けの書籍は、集英社の『小説すばる』で既に連載しているんですけど、それとは別にほかの出版社さんからも声をかけていただいています。

――漫画原作はどのようなきっかけでお話がきたのですか?


杉井光氏: 二本企画があって、電撃の方は僕から、「やらせてください」って言いました。もう一つは、これは経緯が複雑なんですが(笑)、もともとある漫画家さんが原作を探していたので、それに合うだろうという企画を提出したら、それは採用されなかったけれど編集者さんとは知り合いになって、「別の企画をやりますか?」っていうことで声をかけていただいて、進めているところです。

――お仕事をする上で、編集者さんとのやり取りというのは、重要ですか?


杉井光氏: そうですね。というか、編集の人としか普段しゃべりませんからね、本当に。今日は久しぶりに編集以外の人としゃべりますよ。

アイデアが浮かぶのはお風呂の中


――お仕事の場所や、スタイルについてお伺いできればと思います。基本的に執筆される場所というのはどちらでしょうか?


杉井光氏: 実はこのオフィスはほとんど使っていないです。だいたい家で書いていますね。オフィスを借りたのは、家で仕事ができない時に、執筆場所が欲しいなと思ったのと、もうひとつ、会社を作ったので登記場所が必要になったからです。そのうち(会社で)何かをやるかもしれないので、別に場所があったほうがいいかなというのと、こういう取材が入る時に、写真を撮られるので仕事場所があった方がいいかなと思って(笑)。生活感がないねって毎回言われるんです。



――基本的にはご自宅で書かれて、たまにこのオフィスでお仕事されるんですね。


杉井光氏: 家8:オフィス2ぐらいですね。原稿はパソコンで書いています。自宅からノートパソコンを持ってきていますね。据え置きを一個買ってオフィスに置いておいたほうがいいんじゃないか、ってよく言われるんですけれど、データを移行したり、両方の環境を維持するのは面倒くさいので、いちいち持ち運んでいます。今はDELLのパソコンを使っています。DELLは家から出ずに、通販で発注できるのが一番大きいですね。

――朝起きてから寝るまで、一日はどのようにお過ごしですか?


杉井光氏: 最近は割と朝型ですね。以前は、原稿がせっぱ詰まってくると1日の区切りすらなくなってきて、ひどかったですね。なるべく普通の人間らしい生活をして、原稿はせっぱ詰まらないで書こうと思いますね。

――原稿の締め切りが迫っている時は、ずっと書き続けるという感じですか?


杉井光氏: ずっと書き続けているわけではないんです。やっぱり考えている時間の方が長いので。布団に転がって唸ってみたり、という時間がほとんどですね。

――アイデアが出ない時のゲン担ぎなどはございますか?


杉井光氏: ああ、経験上なんですが、風呂で髪を洗っている時に、よくアイデアが浮かびます。頭に刺激が与えられているんじゃないかなと思いますけど。だからといって何回も髪を洗えないじゃないですか。なので、能動的にはやらないようにはしています。風呂に入っている時ってほかに何かできないじゃないですか。だからたぶん作品のことを考えるしかなくなって、ポッと出てくるんじゃないですかね。だからたぶん、ものすごい狭い牢屋とかに閉じこめても、同じことが起きると思うんですけど。缶詰で書くって言いますが、こういう場合の缶詰って、人間は意志が弱いので、出ようと思えば出られちゃう。だから本当に法に触れるぐらいのひどい缶詰をやる編集者がいたら効き目があるかもしれませんね。

子どものころは定番の「明智小五郎」や「ルパン」にはまった


――小説家として、お仕事をするきっかけや幼少期の読書体験をお教えいただけますか?


杉井光氏: 小学生、中学生のころが一番読んでいましたね。高校に入ってからは音楽の方に肩入れするようになって、あまり読まなくなった。小説家になってからは本当に全然読んでいないですね。でも最近は一般向けで、別ジャンルに挑戦という企画も始めたので、その勉強のために読んでいますね。

――小学生のころに読まれていた本というのは?


杉井光氏: 教室の後ろに、学級文庫ってあったじゃないですか。あそこにミステリーの子ども向けの本があった。江戸川乱歩の少年探偵団シリーズとアルセーヌ・ルパンのシリーズですね。あれを全部片っ端から読んでいました。僕はあまり友達とワイワイするタイプじゃなかったし、ほかにすることもなかったので。面白かったですね。全部と言っても教室にあった全部なので、全巻そろっていたのかというと、欠けていたのもあったかもしれないですけど、結構読みましたね。

高校からは音楽にハマってバンドへ転向、文学とは無縁に


――それからはどんな本を?


杉井光氏: 中学に入ってからは、僕はゲームブックにはまりました。そうすると、ゲームと漫画・アニメあたりの業界は近いので、ゲーム雑誌からオタク方面に進んでいきました。高校になってからは、音楽系の部活に面白い先輩がいたので入ってみたら、自分が音楽好きだったことに気付いたんです(笑)。あんなに好きだったとは自分では思わないぐらい、スルッと転向しましたね。

――最初からキーボードだったんですか?


杉井光氏: 僕は小学生のころ、ピアノを習っていたんですね。それは全然ものにならなかったんですけど、基礎ぐらいはできていたので、ほかに選択肢がなかったというか、一から始めるよりは多少できるキーボードかなと思ってキーボードをやりました。高校のその部活は、合唱部の発展したようなものだったので、基本やることは合唱だったんです。その中で、ほかの合唱部のやらないような英語の合唱曲をやりました。サウンドオブミュージックとか。バンド的なものは、部活で知り合ったバンド好きな連中と組んでやりましたね。

――本より音楽に没頭されてたんですね。


杉井光氏: 高校は全然小説にかかわらずに卒業しましたね。卒業してからフリーターをしながらバンドをやっていたんです。それは本当に普通のロックバンドで、ジュディマリっぽいやつですね。やりながら、「プロになりたいなぁ」みたいな夢物語を言っていたけれど、全然ものにならずにいました。

芸者をやっている友だちにインスパイアされて作家の道へ



杉井光氏: そうしているうちに、高校時代の友人とふとしたきっかけで会いまして、なかなか面白い経歴の人で、高校を卒業したあとに向島で芸者をやっていたんです。

――芸者さんですか。


杉井光氏: 珍しいですよね。その友人が純文学系の小説を書いていまして。読ませてもらったら面白くないんですよ(笑)。だから「面白くないよね」って正直に言いましたね。僕が書いた方が100倍面白くなるんじゃないかなと考えたら、書いてみようかなと思うようになりました。ちょうどその時、家にワープロがあって、そこから僕の投稿生活が始まりました。昔から結構、物語自体を妄想するのが好きだった。だからゲームも作っていた時期があった。何か「ものを作る」ということに抵抗がなかった――と言ったら変ですけれど、自分はたぶん何かものを作って、著作権的な業界で生きていくんじゃないかなという気がしていたので、音楽が小説にスルッと変わっただけみたいな感じでした。

――実際に書いてみてどうでしたか?


杉井光氏: もうダメでしたね。自分で読んで面白くないんですよ。でも、投稿してみて、1回目で最終選考に残っちゃったんですね。スニーカー学園小説大賞っていう新人賞ですね。それで自分には才能があるんじゃないかと勘違いしまして(笑)。そこで残っていなかったら、ひょっとしたら違う道を歩んでいたかもしれない。やっぱり創作するにはある程度のうぬぼれが必要ですよね。あそこで受賞もせず、かといって全然箸にも棒にもかからずではなく、最終選考という、すごい微妙なラインに入ったので、それがすごく良かったです。

――そこでもし受賞していたとしたらどうなっていたと思われますか?


杉井光氏: たぶんつぶれていたと思います。どうやって書いたら面白くなるのかわからずに書いていたので。そのまま書き続けていてもうまくならなかったと思いますし。

ライブ感のあるものに弱い自分には「小説」というジャンルがあっている


――そこから、また書こうと思われたんですね。


杉井光氏: 僕、音楽をやっていてわかったんですけど、ライブ感のあるものに弱いんです。一発勝負で、ここで失敗したらNGというようなもの、つまり演劇とか音楽とかスポーツとか、そういうもの全部がダメ(笑)。いくらでもミスを挽回できて、机の上でいじくり回せるものじゃないとたぶんダメだなとわかったんです。基本的に一人で作って出来上がったものを人に見せるというのが性に合っているなと、音楽をずっとやってきてわかったんです。小説の方がより自分の性に合っていると。小説がダメだったらたぶんゲーム業界に行っていたんじゃないですかね。

新作の勉強のために、資料を読む毎日


――今、本を読まれているということなんですが、今でも本屋にフラッと寄られることはありますか?


杉井光氏: その日のうちに資料本が欲しい時とかは、池袋のジュンク堂に行って探します。マニアックなものを求めてしまうので、店頭には大概ないんですけど(笑)。でもネットで資料を探したほうが早いので、ネットで買う方が多いです。情報を得る手段としても使いますし、9割以上はネットで購入してますね。僕が本を欲しがる時は、資料本という目的がハッキリしているので、キーワードで検索して本を探します。そうするとヒットするのはだいたいAmazonですよね。いまは、(購入目的を決めずに)本をなんとなく求めるということはないですね。

――資料は、どんどんたまっていきませんか?


杉井光氏: そうですね。オフィスを借りた理由に本棚を増やしたいという理由もあるんです。家の本棚は既にいっぱいなので。ただ、僕は持っている本は少ない方だと思いますね。蔵書もたぶん500いっていないんじゃないですか。僕はあんまり資料を必要としないので。

――ストーリーというのは、実体験に基づいたものとかも反映されたりするのでしょうか?


杉井光氏: 一番多いのは、他人のものを読んで、「俺ならこうするな」と思ったものですね。人間はまったく知らないものを書けない。だれかの作ったものの土台の上に自分を乗っけていかないとできないですね。土台として一番多いのはやっぱり他人の作品、小説に限らず映画とか漫画とかです。アレンジに似ているのかもしれません。ゼロから作るわけじゃないですね。

―― 一時、毎月のように執筆スピードがダーッと上がった時期がありましたね。


杉井光氏: あれはたまたま、出版社さんからのオファーが重なったので。あのころそんなに売れていなかったので、全部受けようと思って、片っ端からOKしたんですよ(笑)。そうしたらあんなことになってしまったわけです。別にやったるぜと思ってやったわけではないんです(笑)。当時、自分の執筆ペースをわかっていなかったので、編集さんに迷惑をかけましたね。自分のペースというのは限界までやってみないとわからないですね。今はもう(自分の執筆速度がわかったので)あんまり編集さんに強気なことは言わないんです。

編集者も十人十色、色々なタイプがいる


――杉井さんにとっての編集者の役割といいますか、理想の編集者というのはありますか?


杉井光氏: 編集さんってやっぱり色々いるんですよね。僕は7、8人担当編集がいるんですけど、やっぱり一人一人違うんですよね。話を聞いてみると、編集さんも作家によって一人一人やり方を変えるみたいですね。もう編集×作家の数だけやり方がある、みたいなところがあって、一口で言えないんですよね。すごい極端な例だと、編集さんからアイデアを出しちゃって作家さんに書いてもらうという方もいます。だから、プロデューサーという仕事によく似ているのではないかと思います。

――プロデューサーですか。


杉井光氏: プロデューサーと一口でいっても、人によって全然やることが違う。たとえば音楽プロデューサーだと、自分で曲を作ってしまう小林武史や小室哲哉的なプロデューサーもいるし、アレンジにはかかわるけど曲づくりにはかかわらない方とか、アレンジにすらかかわらなくて、商品をどう売るかそれだけを考えるタイプの方もいます。本当に千差万別で、編集もそんな感じです。一人一職業みたいな感じ。電撃文庫はやっぱり、小林武史・小室哲哉タイプが多いですね。

――じゃあ、本当に二人三脚という感じですよね。


杉井光氏: なので、電撃からあまり出ていかない作家さんも多いですよね。「編集者自身もクリエイターじゃないと」という考えもあるでしょうし、「編集者はクリエイターじゃない方がいい」という考えかたも、たぶんあるでしょうね。作家によって相性があると思います。

――杉井さんご自身は?


杉井光氏: 僕はどっちでもありですね。アイデアを言ってくれるなら聞きますし、使えそうなら使います。やっぱり自分にない視点を提供してくれるのが、編集者の一番大きな仕事だと思います。

聖書の研究ソフトを「愛用」しています


――今回電子書籍のお話もさせていただこうと思います。電子書籍というもの自体のご利用というのは、杉井さんご自身はございますか?


杉井光氏: 広い意味でならありますね。僕は聖書を結構作品に使うので。聖書って分厚くて、すごく重いんです。で、使いたいところだけパッと広げて探して読むのがめんどうくさい。なので、研究ソフトを買いました。

――研究ソフトと言いますと。


杉井光氏: 聖書研究ソフトです。聖書のテキストが入っていて、対訳とかを並べて表示できて、パソコンで見られるんです。広い意味での電子書籍ですよね。買ったことがある中では一番お金のかかった電子書籍じゃないかと思っています。資料本って検索したいので、検索できるのが一番大きいですね。

――どんな検索の仕方をされるんですか?


杉井光氏: 僕は聖書はすごくミーハーな使い方をします。誰々が言ったカッコイイ言葉をなんでもいいから使いたいなと思ったら(笑)、格好良さそうなキーワードを入れて検索して、出てきた中で使えるものを使う。例えば福音書って4冊あって、内容がかぶっているんですけど、イエスの言った「ワインが自分の血だ」という言葉を使いたいなと思った時に、一番カッコイイ表現をどれにしようかなとパッと検索すると、4つ並べて表示してくれるわけです。ありがたいですね。そういう使い方をしてます(笑)

――それはいつごろ買われたんですか。


杉井光氏: 比較的最近ですね。検索して見つけたんです。聖書研究ソフトがあるらしいというのは、前から知っていたんです。それで通販で買いましたね。

――iPadとかKindleとかはお使いですか。


杉井光氏: どちらも使ってないです。今のところはほぼ100%紙の本ですね。電子書籍の一番のハードルって、端末をどれにするかという話だと思うんです。端末を買ったらすぐに電子書籍に移行するんじゃないですかね。

――そうですか。紙の本に対して、何かこだわりとかはありますか?


杉井光氏: 特にないんですよね。でも、インタビューを受けて写真を撮られる時に、背後の本棚に本が並んでいるほうがカッコイイじゃないですか(笑)。そういう意味でオブジェとして必要なんじゃないかと思ってます。

電子化や電子書籍について思うこと


――ご自分の本の電子化については、何か抵抗はございますか?


杉井光氏: (笑)、それはないですよ。じっさいに出版されてますしね。

――電子書籍の利点というのは、どこにあると思われますか?




杉井光氏: 小説って1冊まるごと時間をとってバッと読むので、「紙であることの不便」があまりないんですよね。それがたとえば辞書だと、「紙であることは不便」なわけです。同業者に聞いてみても、紙の辞書を使っている人なんて1人もいない。辞書ソフトを入れている人もあんまりいないんですよね。だいたいネットで調べている。つまり電子書籍の利点といっても用途によりけりですよね。さっきゲームブックのお話をしましたけど、ゲームブックってほぼ、滅びているんですよ。あれは本当に「紙であることの不便」がでかいですね。いちいちめくって探すんですよ、毎回毎回毎回。間違ったら元のページがわからなくなっちゃったりして。だからハイパーテキストでやれないかという話になりますよね。で、探してみたらアイゲームブック(ゲームブックのスマートフォンアプリ)というのがちゃんとあるんですよ。ゲームブックというものはもう、いわゆる普通のコンピューターのゲームに取って代わられてしまったわけですよね。昔はそんなにコンピューターが普及していなかったし、高かったし、だからゲームブックが商売として成り立っていましたけど、もうそこはあっさりと成り代わられた。そんなふうに、用途によっては紙の本は全部電子書籍に成り代わられるんじゃないですかね。

――ほかに杉井さんご自身が、書き手として思われる電子書籍の利点というとどんなところにあると思いますか?


杉井光氏: 僕はですね、本の側からコンピュータに近づくということの意味があまり重大なものと思っていないんです。例えばサウンドノベルとか、あれは言ってみれば電子書籍じゃないですか。あれはコンピューターゲームの側から小説に歩み寄ってきたんですよね。ゲームなので当たり前のように、音が付くわけですよね。なので、本を電子化するという考えは別にこだわらなくていいんではないかと。コンピューターが普及したので、別のジャンルが出てきたよっていうのでいいんじゃないですかね。

――どうしても、本とかこだわってアプローチしていくと変なことになると。


杉井光氏: あんまりこだわらない人が新しいものを作ると思います。小説は小説でやっぱり、テキストデータというのが一番軽くて、読者に負担をかける分、著者にはすごく楽なメディアです。電子書籍になっても続くと思いますし、そんな形態はかわらないと思いますね。

――二つとも共存して存在していくと思われますか?


杉井光氏: 電子書籍が出る前から、テキストのゲームはいっぱいあったし。あんまり変わったようには思えないですね。だからそれこそ辞書とか、そういう取って代わられる分も、既にもう代わられているんじゃないかなと。

――電子書籍はどのように進化していくと思われますか?


杉井光氏: 漫画の方が、電子書籍って存在はでかいと思うんですよね。漫画というのは紙の1枚に収めるために進化してきた手法なので、たぶん電子書籍が生まれたら、電子書籍しかできないことを、漫画がやり始めると思います。もう既にありますよね? (既存の漫画と同じものを)一コマずつ見せるというのはバカバカしいので、電子書籍に特化した感じの見せ方というのが既にあります。あれはそのうち、絵も動くし、どんどん漫画ではない何かに進化していくんではないでしょうか。

一番得意な「物語を書く」ことで今後も勝負していく


――それでは最後に今後の取り組みをお聞かせいただけますか?


杉井光氏: 僕はやっぱり物語を作るのが得意で、それが一番金になるので、何かしら物語をずっと作っていくと思いますね。出版社が電子書籍でいつかなくなるんじゃないかとか言われていますけど、小説に限らず、物語の需要はいつでもありますので、食いっぱぐれることはないかなと思っています。表現の幅が広がるのは大変ありがたいことですね。

――それでは、小説とかそういった枠から飛び出して、もっともっと色々なことをされる可能性っていうのは、これから十分にありますか?


杉井光氏: 既に漫画を進めているわけですしね。小説は一人でしかできないので、他人と何かやると、また別のものが現れますよね。あとは、死ぬまでに自分の考えていることを全部書けるかというと、小説だけやっていたら無理っぽいんですよね。アイデアだけ他人に任せて書いてもらいたいというのもあります。

――そうしたらまた、新しい杉井さんワールドというのを、われわれもまた見ることができそうですね。


杉井光氏: その時は、僕だけの世界じゃなくなっているので、作画さんの力が大きいので、僕ワールドではなくなっている気もするんですけれども、僕も楽しみですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 杉井光

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