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世界中の本好きのために

本田直之

Profile

明治大学商学部産業経営学科卒業。シティバンクなどの外資系企業を経て、バックスグループの経営に参画し、経営戦略、IR、IT戦略担当常務取締役として2001年にJASDAQへの上場に導き、売上15億円から100億円へ成長させる。現在は、 日米のベンチャー企業への投資育成事業を行うと同時に、少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行う。また累計著書は200万部を超え、ベストセラーになった「レバレッジ」シリーズの著者でもある。東京、ハワイに拠点を構え、年の半分をハワイで生活するデュアルライフを送っている。

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自分では気づかない「本になる」ネタ


――本田さんご自身は、本を書くきっかけはどのようなことだったのでしょうか?


本田直之氏: 昔から書きたかったんです。たまたまこの前、家の整理をしていたときに、17、8年前のアメリカ留学していたころのノートが出てきて、そこに色々なやりたいことが書いてあって、「本を書く」ということも書いてあったんです。いつだったか覚えていないけど随分前から、なにか直感的に、本を書きたいなと思っていました。それで、2003年か4年に、いわゆる「カリスマ編集者」の人とかに、「僕はこういう経歴で、こういう本を書きたいと思っているんですけども」って言ったんだけど、「いや、面白くない」「ちょっと分かりませんね」って全然、はしにも棒にも引っかからなかった。1冊目は翻訳本なんです。まずは出版業界のこと分からないと本も出せないと思って、東洋経済の人と仲良くなって色々なこと話しているうちに、『パーソナルブランディング』っていう英語の本を見つけて東洋経済に売り込んだんです。『パーソナルブランディング』の日本語訳は2005年の6月に東洋経済から出したんだけど、その過程で、僕の本の読み方について話をしていたら、東洋経済の人に「それ面白いですね」って言われて『レバレッジ・リーディング』(東洋経済新報社)を書いたんです。それが2006年12月だったんですよね。こんな本の読み方なんか「皆やってんじゃないの」って思っていたんだけど、意外に自分が本にならないと思っていたネタが本になったんですね。自分が当たり前と思っていることが、実は他人には面白いと思われることが結構あるから、自分じゃなかなか気づかないんですね。

――書き手の力を引き出す編集者が少ないと感じることはありますか?




本田直之氏: 多くの編集者はそれができないから本が売れないわけです。僕も本のプロデュースをしているんだけど、著者と何日か一緒にいて、色々なこと話して、そこから面白そうなこと、これはいけるなっていうのを探しています。もちろん僕が一緒に仕事をしている編集者は皆、優秀ですね。僕は、そういう人としかやらないので。だけどやっぱり、色々な提案してくれる出版社の企画は、「これじゃ売れないだろうな」っていうものがいっぱいある。だから僕は持ち込まれた案件の本は書かない。自分で企画を考えて、その本のカラーに合いそうな出版社と一緒に仕事をします。編集者が「こういう本が売れそうだ」という企画を、決め打ちで作ってくるのは大体だめなんですよね。今売れている筋の2番手、3番手みたいのを、「こういう感じで書いてください」って言ってくる。それよりは、著者が持っている何か面白いものを見つけてあげる能力がある人の方が大事だと思うんですよね。あまり決めつけないでやった方がいいと思います。

――ご自身で文章を書く際に心がけていることはありますか?


本田直之氏: 自分が面白いと思ったことや、役に立つと思うこと、人に伝えたいことを書くというのが僕のコンセプトです。自己満足の本を出してもしょうがないので、誰かが自分の書いた本を読んで何かが変わったとか、何かがよくなったっていう風に言ってもらえる本にしたいですね。例えば、本を速く読めるようになったらうれしいわけじゃないですか。そういう、人が求めるテーマで、自分の中で持っているもので提案できることを見つけて書けば、本は自然に売れると思います。昔は教えてあげるというスタンスで考えていたけれど、今はそうじゃないなと思っています。

仕事と遊びの垣根がないのが理想


――今後取り組みたいテーマというか、お書きになりたいことはございますか?


本田直之氏: より自由な働き方や生き方を伝えていきたいですね。最近、社員を管理するんじゃなくて自由に働かせるという会社が増えてきています。例えばpatagoniaとかGoogleとか、Zapposとか、Tumblr とか。そういう会社を取材して、これからは「社員を管理するんじゃなくて、好きなようにやらせた方が成果が出ますよ」という本を書こうと思っています。オフィスに出社しなくていい会社もあるし、世界中に25カ所拠点があってどこで働いてもいいとか、変な会社がいっぱいある。上司とかマネージャーがいない会社もある。日本でも、面白法人カヤックとかユニークな企業が出てきていますね。そういう変わった会社ってなかなか自分では見つけられないでしょう。そんな会社があるのも皆知らないので、それを紹介できれば今の学生の悩みもまた変わったりするんじゃないかなと思うんですよね。「就職ランキングトップの会社へ行くんじゃなくて、自由な方が楽しいじゃん。」とか「ランキングに出ている会社は、20年後にはなくなっているよ。」って言ってあげたいです。僕は仕事と遊びの垣根がないっていうのが1番僕は理想型だと思っているので、サラリーマンでも実はそういうことができるんだよと伝えていきたい。ただそういう会社に入るのはめちゃくちゃ大変で、ある意味スーパーエリート以外は絶対入れてくれない。Patagoniaは、単にアウトドアが好きということでは入れないけど、でも入れた時にはすごく幸せな会社員生活があると思います。

――仕事と遊びの垣根がないという言葉がありましたが、本田さんご自身もそのようなモットーでお仕事をされているんでしょうか?


本田直之氏: 僕の場合も、どれも仕事でどれも遊び。この秋は日本をベースにして、半分以上は海外に行きます。ヨーロッパに1ヶ月くらい行って、台湾、シンガポール、あとはニューヨークとかロサンゼルス、サンフランシスコに10日くらい行きますが、食べるのが好きだから、食い倒れに行くのが1つのメインで、その中に仕事が絡んできています。日本人シェフが海外で今すごい活躍をしていて、イタリアとかフランスのトップシェフが日本人になってきているんです。その人たちを取材してこれから本にまとめようと思っています。

――レストランの取材も、最初はお客さんとして入るところから始められるのですか?


本田直之氏: 普通にお客として行っている中からそういうアイデアを思い付くわけです。フランスとかイタリアに2週間行って、食べるお金を出版社に出してって言ったら絶対に企画が成り立たないから、それは自腹でやる。本にすることだけ出版社にやってもらう。さすがに食い倒れるのに出版社にお金を出してっていうのはね(笑)。本を出すにせよ出さないにせよ、自分の食べたいものを食べに行きます。その中で面白いシェフと出会う。そうすると、読者にそういう面白いシェフがいることを知ってもらえたらいいんじゃないかなと思うんです。僕自身も、シェフと仲良くなれて楽しいですし。

――人脈も、単なる仕事の付き合いではなく、楽しく作り上げていくのが基本なのですね。


本田直之氏: 今度の本の取材対象は、「マラソンつながり」で、ケイスケ(松嶋啓介氏)に全部紹介してもらったんです。彼はミシュランで日本人の若手で初の星を取ったくらいのすごいシェフなので、みんな神様みたいに思っていますね。紹介というのはやっぱり「誰に紹介してもらうか」が大事で、紹介してくれる人がその人が信用している人だったら、いきなりいい関係になれるわけじゃないですか。シェフたちも、いきなり取材させてくださいってメールするんじゃなくて、トップシェフに紹介してもらって、そこからまたつながりで紹介してもらうようにしています。そうすると「普通の雑誌の取材と違うんじゃないかな」という風に思ってもらえますしね。ビジネスパーソンも、日本人は変にアメリカナイズとかされなくて、その繊細さとかまじめさとか勤勉さが、ヨーロッパですごいブランドバリューがある。ビジネスマンとして海外で十分勝負できるよという本にしようと思っています。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 本田直之

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