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世界中の本好きのために

戸田覚

Profile

1963年東京都生まれ。中央大学中退後、コンピュータを独学し作家/ライターとなる。著書累計130冊以上。雑誌連載、テレビ出演多数。大手テレビ局、航空会社、生保、自治体、石油卸など、講演・セミナーも多数。IT関連の内容では、大型展示会でのセミナーも多い。また、コンサルタントとしてセールス、販促、プレゼン、IT系事業等を多数手がける。セールスツール、販促ツール作成のスペシャリストでもある。徹底した現場、実例主義を貫き、現場情報は日本屈指。

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人は知らない事を聞いても理解できない。既に知っていて、頭の中で顕在化してない事を聞いた方が、人は感激する



プロフェッショナルライターであり、作家である戸田覚さんは、雑誌・単行本の企画・執筆からウェブコンテンツの製作まで、幅広くご活躍されています。そんな戸田さんから見る電子書籍の未来についての見解をお伺いしました。

著書は130冊以上、キャリア20年のプロフェッショナルライター



戸田覚氏: 今、僕の著書は130冊以上になっていると思います。まずプロダクションを2つ経営していて、僕は全部、本も記事も、自分の名前で出すものは自分で書いています。人に書かせることはしていません。ビジネス書の作家の中では、口でしゃべってスタッフが起こしている人もいっぱいいますけれど、僕は文章にもこだわっているので全部自分で書いています。今は、紙での仕事は4割から5割ぐらい。残りはウェブの仕事や講演になりますね。

――ここ最近ですと、講演はどれ位の頻度でされているのですか?


戸田覚氏: 直近3か月で5回ぐらいですね。

――普段の執筆はどちらでされているのですか?


戸田覚氏: アバンギャルドのオフィスの他に事務所がもう1つあって、そこで僕は原稿を書いています。昼間は打ち合わせをしている事が多いですね。執筆ですが、長い時は30時間ぐらい集中して書いている事があります。今、連載を50本以上抱えているので。単行本も年に少なくて5冊、多いと10冊以上出しています。

――連載50本というのは、驚異的な量のこなし方だと思うのですが。


戸田覚氏: 僕はもう慣れていますね。常に締め切りが50回やってきて、結果も50回分出さなきゃいけなくて、執筆も50回分して、取材も当然しますし、当たり前ですがレビューする製品も実際に試します。大事なのは「何を書こうかな」と、書く時点で思っていてはもうダメだという事です。当たり前だけれど、書く時には何を書くか明確に決まっていないといけない。常に自分が書く事が、先に決まっているという事が大切です。もうそれはテクニカルに、ロジカルにいかなきゃいけない。「次に何を書く」というのは全部リストで決められますね。さらに、何かがあってからそれを書こうとしているのでは遅すぎる。例えば「9月12日にiPhoneが発表になります」というニュースが出て、今が8月25日だとします。その時点から、「iPhoneの話を書きますか」なんて言っていると、そこから調べて書いて、掲載されるのが10月とかになっている訳だから、プロなら本当は9月12日に書店に並ぶ位の予想で考えなければいけない。全ての事に関してそうやって先取りして考えていないとダメですね。

読者ハガキに生意気な事を書いて、出版社の社長に呼び出された


――物書きになられたきっかけは、どのような事だったのでしょうか?


戸田覚氏: 僕は、21歳くらいの若くて世間知らずの頃に、ある雑誌に付いていた読者ハガキにこう書いたんです。「こんな記事、面白くない。こんなのよりももっと面白いものが僕は書ける」と。そうしたら、そこの社長がその読者ハガキをたまたま見ていて、「お前、そんな生意気な事を言うなら書いてみろよ」と言われて、コラムを最初に書いたのが始まりです。

――読者ハガキが社長の目にとまるという事は、あまりないと思うのですが。


戸田覚氏: 社長がたまたま見ていたんでしょうね。そこの会社は社員300人ぐらいの規模の出版社で、僕は社長に呼び出されて会いに行った訳です。その時に、「じゃあ書いてみろ」と社長が言うから、「書く内容には自信があるけど僕は本を書いた事がないし、文章も学校の教育しか受けてないから自信がない。社内教育を僕にも受けさせてください」と言ったら、「すごく面白い事を言うね」と言われたんです。その時に、社長から「実は出版社というのは文章の書き方について、作家も社内の人も教育されていない。つまりOJTみたいなものはない」という話を聞いた訳です。僕の頭の中では、もうその時から今に全部つながっています。自分の会社を持った時「うちの会社は、全部社内教育で文章のOJTをやろう」と。僕の会社は、文章を売っている訳ですから、教育もしない人に書かせて、それでいいの悪いのと言っても明確な基準もない訳ですし…それっていいのかなと思ったんです。例えば、何か製品を買おうとしたら、「これは何万時間使える」とか、全部、基準があるじゃないですか。スイッチがどのくらい押しやすいとか。そういう基準が全くない中で、文章を作って世に出していいのだろうかと。新聞社とかは結構やっていますけどね、あんまりにも基準がない状況が、僕には普通に信じられなかった訳です。21歳の時点では、戸田塾の構想はまだなかったんですが、28歳位になった時に、僕は当初からIT系に強かったので、インターネットで弟子募集みたいな事をしていたんです。当時はパソコン通信で、弟子の一人一人を教えていくのは大変だと思った。僕は文章のノウハウは出版社の人や先輩から教わったので、それを元にメソッドを作って教えていって、その弟子の方に会社のスタッフになってもらったのが戸田塾の始まりです。

――電子書籍の自炊などに関しても、情報としては先取りされたんですか?


戸田覚氏: 僕は多分、最初に出したと思うんですけれど。情報の予測が早すぎて外す事もありますけれど(笑)。早すぎて外したら、あんまり恥ずかしくない。二番煎じより恥ずかしくない。僕はなるべく先へ行きたいと思っているからですね。それで、僕は自炊の本を出したんですが、その本が書店に並ぶ直前に出版社からオファーが3本ぐらい来ました(笑)。「もう書き終わって並びますよ」と言ったら「見ました」って皆さんおっしゃる。まあ、そういう感じですね。

テレビや漫画を読まず、何か作ったり書いたりするのが好きな子どもだった


――どんな学生時代を過ごされたのですか?


戸田覚氏: 僕、大学を5日でやめているんですよ。大学の授業で僕のやりたい勉強がなかったので、ずっと自分だけでやりました。子ども時代も周りと本当に変わらない。成績も普通だし、目立つような子じゃなかったけれど、ただ、テレビだけは見なかった。漫画も読まない。本も、好きだけれど普通よりちょっと多いぐらいしか読まなくて、その代わり何か常にやっているのが好きでしたね。作っているとか、書いているとか。友達に自分の書いたものを見せたりしていた。小説でもない、学級新聞でもないようなものを書いて。それで、「自由研究で1ページ書け」といわれても物足りなくて、10ページ書きたい、みたいなマインドはありました(笑)。今もそうなんですけれども、僕は書く事自体が好きな訳じゃない。伝えたいだけなんです。だからつきつめて考えると「書かなくてもいい」。インタビューでもいいんですが、でもしゃべるのがあまり得意じゃなくて、書く方が得意だから、どちらかというと書く方に重点を置いているんですね。

――「伝えたい」気持ちが強いのですね。


戸田覚氏: 情報を伝えたいんです。どこへ行ってもしゃべるのが好きな人や、あんまりしゃべらない人がいる。しゃべるのが好きな人の中にも色々いて、身の上話とか愚痴ばっかり言う人もいれば、SFっぽい事を言うのが好きな人もいる、色々とタイプが分かれますよね。僕はどちらかというと、人の知らない事を人に伝えて喜んでいただくのが好きで、かつ、それが自分のノウハウではなくて「知ってる? 今度、こんな製品が出てね、生活がこんな風に変わるかもしれない。すごく楽しいよね、興味あるよね」というような話が好きなんですよ、きっと。「今度こんな店ができてね。あそこに行くとこんなに感動するよ」というのを自分だけじゃなくて、人にも知ってもらいたい。いち早くその情報を知っている自分を自慢したいみたいな気持ちがあります。情報は価値ですよね。僕はお金はないけど価値のある情報をもっているから、もしかしたら1万円あなたにあげるよりも、得するかもしれないよって感じかな。 「どうだい、俺、知ってるぜ」みたいな感覚ですね。伝えるのが楽しいんです。

――今でもご自身の考えや行動に影響を与えている本はございますか?


戸田覚氏: もう山のようにありますね。僕は、同じ本を2回読まないんですよ。たまには読みますけど、基本的には愛読書みたいなものがない。好きな人は、座右の銘みたいに同じ本を何回も何回も読んだりするじゃないですか。僕はそういうような本はあんまりない。毎週、印象に残った本は変わる。だって新しい本の方が新鮮でしょう。だから素晴らしかったと思う今週の本はいっぱいありますけれども、ずっとはない訳です。だから影響を与えるのは本だけじゃないですよ、ウェブかもしれないし、新聞かもしれない。僕にとって大事なのは、その内容を人に話した時に、人が感動してくれるかどうかなんです。自分が感動するかどうかはどうでもいい。この話は世の中に対して初めてだなとかね。それで先の見方を常に考えている訳です。例えば今回、電子書籍のお話もありましたが、僕、電子書籍は既に全滅していると考えていて。そういう事は、一般の人が電子書籍の情報だけを集めていても分からない事ですね。

著書一覧『 戸田覚

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