小宮一慶

Profile

1957年生まれ。京都大学法学部を卒業し、東京銀行(三菱東京UFJ銀行の前身の一つ)に入行。同行から派遣されてダートマス大学エイモスタック経営大学院でMBAを取得。本店でM&Aなどを担当した後、1991年、岡本行夫氏が代表を務める岡本アソシエイツに移籍し、同社の取締役に就任。1995年、現職。企業規模、業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上の講演を行う。経営、会計・財務、経済、金融、仕事術から人生論まで多岐にわたるテーマの著書を発表。その数80冊以上、累計発行部数は220万部を超え、新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も数多くこなす。近著は「こんな時代に会社を伸ばすたった一つの法則」

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経営コンサルタントとして350社ほどの会員企業を抱え、年に200カ所ほどの講演や研修を行っている小宮一慶さん。他にもこれまで85冊の本を著すなど、執筆業も精力的に行っておられます。多忙を極める小宮さんが普段どうやって情報を得ているのか、また、読書をする上では何に気をつけているのか。仕事をする際の心構えとともに伺ってみました。

「書く」ことを身構えない、「書く」ことと「話す」ことは同じ


――早速ですが現在のお仕事について教えていただけますか?


小宮一慶氏: 仕事は経営コンサルタントで、内容は経営のアドバイスをするということです。実際に月に5社程度は顧問先企業の取締役会などの経営の現場に行くことも少なくありませんが、それにプラスして今350社ほど会員企業さんがいらっしゃって、その人達に向けてセミナーを開催しています。もう一つは経営コンサルタントだけではなく、企業に行って研修も結構やらせてもらっていますね。それと物書き業も別にやっています。

――かなりお忙しいと思いますが、睡眠時間はどのくらいですか?


小宮一慶氏: 普通の日は6時間半くらい、疲れているときは7時間くらいですね。睡眠を優先してますね。睡眠時間を削って仕事をするということは絶対やらない。頭を使う仕事なので、頭が鈍ることはしない。僕ほど忙しい人は少ないと思いますよ(笑)。僕はこの小さい会社を経営しているんだけど、その他に今7社非常勤の役員をしていて、年に講演とか研修を200ヵ所、週にすれば5回くらいはやっています。その他にテレビに月2回大阪でレギュラーに出ていて、役員している会社以外にも顧問している会社が7社ほどあります。僕は新幹線に片道一回として年に110回乗りますし飛行機は80回乗る。それにプラスして、連載を月15本持っていて、本を年に10冊くらい出しています。だから普通の人の何倍も忙しいと思います。

――そんな中、きちんと睡眠時間を確保されてるんですね。


小宮一慶氏: 僕らくらいの年齢になるとアウトプットでしか評価されないので、寝ないで頑張っているなんて言うのはほとんど意味のない話なんです。どれだけ良質のアウトプットを出すかが大事。講演もそうだし、本もそう。だから良く寝るんですよ。寝ないといいアウトプットできないから(笑)。先ほどの仕事にプラスして、僕は月2回メルマガも出しているんですね。それがだいたい1500字前後ですけれど、調子良かったら20分で書きますよ。僕は、書くの早いですよ。

――20分で書くんですか?!


小宮一慶氏: うん、推敲2回して書き上がりまで20分。調子悪くても30分で書く。30分かかったら本当に調子悪いと思う。慣れですよね。

――コツをお伺いしてもよろしいですか?




小宮一慶氏: 書く前に考える。考えながら書かない。だからテーマだとかを書く前に決めているの。そうすると書くのは作業だから、手を動かしていればいいだけですね。テーマさえ決まればそんなに難しくないです。あとは、起承転結を考えない。起承転結を考えたら文章に手間が掛かっちゃうから、思ったことをバーッと書いて推敲していく中で変えていく。あともう1つは、バリューとインパクトを考える。バリューは読み手にとって価値があるか、あとは読んだ時にインパクトがあるかどうか。だから最初と最後をある程度決めて、言いたいことを真ん中でバッと言って、最後にどんでん返しみたいな結末で終わらせるというのが僕の文章のパターンなのね。だから書くのにそんなに時間かからないの。

――新聞の連載している記事だとどのくらいですか?


小宮一慶氏: 今新聞の連載は2つ持っていて、読売新聞に毎週と、日経の夕刊も2週間に1回書いてるんですけれど、どっちも600字くらいだから5分くらいです。原稿用紙1枚ちょっとだから多分5分かからないと思う。これもやっぱり書くことは最初に決めてから書いてる。書くこと決めていないといくら唸ってても時間が過ぎるだけですからね。600字くらいの文章なら、1本書くのに5分というか、10分はかかることはないと思いますね。

――早く書くための手法というのは、いつぐらいから確立されたんですか?


小宮一慶氏: 手法は考えてない。こうやって喋っているでしょ、喋っているのと同じトーンで書くの。だから書くことと話すことと区別がない。同じなんだ。口から出てくるか、指から出てくるかの違いだけ。普通の人でも1分で400字くらいは喋っていると思います。だから5分もあれば、本当は原稿用紙5枚分くらい出てるはずなんだけど、書くってことにみんな身構えちゃうから、時間かかっちゃうんでしょうね。

目の前のことを一生懸命やりましょう、若いうちは難しい本を読むべし


――研修をされる際は、主にどういった方々を対象にされてますか?


小宮一慶氏: 経営者か経営幹部が多いですね。でも頼まれて新入社員さんの研修をするときもある。対象は別に誰でもいいんですよ、同じことを言っているから。対象の方の社会的なレベルによって中身の複雑さや難しさは変えますけど、それほど内容は変わらないね。生き方だとかそういう話をするから。

――新入社員となると若い方が多いと思いますが、若い方たちのいい点も悪い点も含めて変わってきているなという部分はありますか?


小宮一慶氏: 今の子たちはみんな素直ですよ。すごく素直で言われたこときちっとやる。ただ恵まれて育っているから、チャレンジ心というのが若干少ないかもしれないですよね。自分からガーッとやろうと思うようになればもっと良くなると思います。歳を重ねてくると、そのうち誰も指示してくれなくなるからね。

――若い方たちに向けてはどういったことを伝えてらっしゃいますか?


小宮一慶氏: まず僕が若い人たちに話すとき、必ず言うことは「目の前のことを一生懸命やりましょう」ということですね。実力が十分じゃないので一生懸命やったって評価してくれないんだけれど、手を抜くと余計評価されなくて実力も上がらない。若い頃の習い癖で目の前のことを一生懸命やるという習慣を持っていれば、もっと年を重ねても成功すると思うんです。あとは深く考えるってこと。今の時代、便利で考えなくていいようになっちゃっている。だから深く考える癖をつける、難しい本を読むということが大事ですね。みんな難しい本を読まないよね。言ったら悪いけど、出版社もさーっと読める本しか作らないから。難しい本を作ると売れないんですよ。

著書一覧『 小宮一慶

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