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世界中の本好きのために

遠田和子

Profile

青山学院大学、文学部英米文学学科卒業。在学中にカリフォルニアのパシフィック大学に留学し、卒業後、キヤノンにて翻訳業務従事する。数年後、フリーランスの日英翻訳者として独立。2012年 持論である「明快な英語」普及のため、WordSmyth英語ラボを立上げる。現在は翻訳業の傍ら、翻訳学校サン・フレア アカデミーの講師および企業研修講師(英語プレゼン)を務める。英語学習関連の本や雑誌CNN English Express記事の執筆、講演活動も行っている。また、日本英語交流連盟の認定講師として、即興スタイルの英語ディベートに取り組み、トーストマスターズ会員としてパブリック・スピーキング能力を鍛えている。趣味は読書・映画鑑賞。

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――全ての原動力は好奇心ということでしょうか。


遠田和子氏: そう。「好きから出発」を主題に『eリーディング英語学習法』を書いたのです。自分の興味に沿ってネット上のリソースを探せば、いくらでも自分が本当に欲しい英語素材が取れますよ。インターネットの発展で可能になったことです。

――今、月にどれくらい本を読まれますか。


遠田和子氏: 月に4冊くらいでしょうか。忙しいときと余裕があるときで異なり、波があります。参考書や学習書などは紙の本で、日本語の小説は文庫本。英語の小説やノンフィクションは最近では電子書籍がほとんどです。移動中など隙間時間にオーディオブックを聞くこともあります。



日本語の電子書籍はほとんど読まないです。だって選択肢が限られているでしょう?読みたい本はほとんどないです。日本の電子書籍はハードウェアが先行で本の点数が少なく、消費者にとって魅力が薄い。私はAmazon.comで電子ブックを買っています。Amazonは最初にシステムを構築してからデバイスを売るという所が上手く、日本は全体的なシステム作りが下手ですね。

――それはどういった所が阻害要因になっていると思いますか。


遠田和子氏: 日本では、メーカーが群雄割拠しています。規格も統一されていないし。いくらハードウェアを良くしても、「で、それで何読むの?」というと、漫画とか実用書とか…だけ。

――遠田さんご自身は、ご自身の本がスキャニングされて、電子デバイスで読まれるということに関してはいかがですか。


遠田和子氏: それは買った人の自由です(笑)。そこまで私にはコントロールできません。鍋敷きになるかもしれませんし(笑)、裁断されるかもしれません。でもスキャンの手間をかけて私の著作を電子化してくれるなら、それはそれでありがたいです。

電子デバイスで読んでもらうなら、電子版を出版して欲しいです。Googleとeリーディングに関する2冊は電子ブックに最適のコンテンツです。何故かと言うと、リンク。紹介しているサイトなどにリンクを全部張れば、ものすごくユースフルです。あと、詩人である星野富弘さんの自伝を共訳し『Love from the Depths』というタイトルで英語版を出しましたが、現在絶版になっています。絶版の本も電子なら再出版しやすいのではないでしょうか。

もうひとつ電子書籍の可能性について話をすると、いま小川英子さんの『ピアニャン』という児童書を英語ネイティブ・スピーカーと英訳しています。これは電子化してAmazon.comで販売予定です。小学校高学年対象の児童書で、子猫が新潟の田舎から渋谷に出て自立する物語です。児童書の翻訳はすごく難しいです。大人の読者は、「これは翻訳モノだから、この国はこうだろう」と考えつつ読みます。インドの物語を翻訳したら、「インドってこういう国だ」という知識がある。でも、子供は分からないです。「日本ってこんな国だよね」とか、「渋谷ってこんな所だ」と、全然分からないでしょう?文章だけでは乗り越えられない文化の壁がある。でも電子書籍なら、写真を入れやリンクをはることができます。例えば青山劇場がでてくるページでは、青山劇場にリンクをはるとか、渋谷の交差点が登場する場面では、交差点の写真を入れるとか。こんな風に電子版を作ると、児童書の英訳版というだけではなく、日本を紹介する本がつくれます。日本のポップカルチャー、女の子や若者がどういう風に感じているかなど、伝えられるような気がします。そういった意味で電子媒体には大きな可能性がありますよ。

――電子書籍が普及していく中で、今までよりも簡単に出版ができるようになってくると思います。こういった中で出版社は、どういった強み、役割があると思いますか。


遠田和子氏: 強みは経験と企画力でしょうか。私は紙と電子ブックは絶対、共存すると思っています。というのは、自分自身。電子ブックで沢山読みますが、あえて紙で買う本もあるからです。電子ブックに向いたコンテンツと向かないコンテンツがあるわけです。だから出版社には、それぞれの特性を生かし、いままで培った経験と企画力を発揮して良い本を作って欲しいです。

消費され消えていく本と、そうじゃない本がありますよね。一回読んだら二度と読まない本、あるでしょう?私はミステリーが大好きですが、ミステリーは2回読まないので電子書籍でいいです。反対に、すごく大切にしていて、傍らに置いて何回も読み返したい本もあります。参考書やアイディアを生むのにぱらぱら見たい本、愛読書の類は紙がいいです。気になる箇所が「ここらへんに書いてあったな」という本の身体的な感覚、あれ大事です。電子書籍の弱点の一つは、自分がどのあたりを読んでいるか感覚的にわからないこと。探したいページは「キーワードで検索すればいいじゃないか」と言われても、そう簡単ではないです。入力に時間かかりますから。

著書一覧『 遠田和子

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