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世界中の本好きのために

竹内薫

Profile

1960年東京生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業(専攻、科学史・科学哲学)、東京大学理学部物理学科卒業、マギル大学大学院博士課程修了(専攻、高エネルギー物理学理論)理学博士(Ph.D.)「猫好き科学作家」(サイエンスライター)として科学評論、エッセイ、書評、講演などを精力的にこなす。科学の真面目な解説があるかと思えば、それを小説風に料理したSFタッチのショートショートも登場。不可思議なミステリーも飛び出す。本の多くには変幻自在のシュレ猫が登場する。テレビ番組への出演もこなし多方面で才能を発揮、独特の「竹内ワールド」を展開。スポーツインストラクターの妻と猫4匹とともに横浜に在住。

Book Information

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―― では早速よろしくお願い致します。

竹内薫氏: はい、お願いします。

―― 今回お伺いさせていただく全体的なテーマは、電子書籍にこれから望むもの、未来にどんな風になっていくのかといった内容ですが、まずBOOKSCANはご存知でしたか。


竹内薫氏: ええ、知っていました。twitterで知り合った人が、BOOKSCANで仕事していると言っていたので。自炊ですよね。

―― 蔵書を電子化する、というコンセプトを掲げています。


竹内薫氏: なるほど。裁断された本ってどうなるのですか。

―― BOOKSCANでは破棄、溶解処分となっており返品は不可です。


竹内薫氏: まあいろんな人がいますからね。

―― そうですね、残念なことではありますがそのまま破棄しないという会社も一部あるようです。ところで竹内さんは普段たくさん本を読まれるかとは思いますが、最近読んだ本を伺えますか。


竹内薫氏: 最近読んで面白かったのは、『人生の科学』という本ですね。

―― やはり、科学ですね。


竹内薫氏: ええ。ただそういう名前付いていますが、『人生の科学』という本は、人間の無意識に焦点を当てた本ですね。

―― 無意識ですか。




竹内薫氏: ええ、普通科学の本というと、論理とかIQとか、そちらの方に行くじゃないですか、脳科学とか。しかしそうではなくて、この本では、人間の1番重要な資質として人間の『繋がり』について書かれており、その『繋がり』のバランスが取れているというのは、無意識の部分によるところが大きいと言っているのですね。だから人生の見えていない無意識の部分に焦点を合わせると、生き方も変わってくるのではないか、とそういった内容の本です。

―― 最近の本なんですね。


竹内薫氏: ええ、今年に入ってからのものです。結構分厚い本ですが、物語風になっていて、登場人物がいて、その人たちの『人生』にいろんな事が起きる訳です。会社が潰れたり、再就職してみたり。その際に、やはり家庭、家族の幸せみたいなものを見つけていく話なのです。そこにすごい『科学』が書かれている訳です。心理学の話とかたくさん書かれてあり、バランスが取れていて読みやすかったですね。それが最近読んだ本でちょっと、ベスト1かな。

―― 面白いですよね、そういう無意識について書かれたものは。潜在意識の意味について考えさせられます。ご自著の中で、最初にオーストラリアで発行されている地図をドンと載せられていますよね。人間の考え方は、それこそまさしく無意識下の中で、北半球に住む人間と南半球に住む人間で、思考の回路が違ってくるのではないかと思っているのですが、どう思われますか。


竹内薫氏: あるでしょうね。全然違うでしょうし、北と南に限らず同じ北半球でも、地球の裏側に行ってしまうとやはり違いますよね。僕は小学校3年生の頃、いきなりアメリカに連れて行かれました。当時はまだ日本人学校がなかったのでいきなりニューヨークの現地校に入れられたのですが、その時に、『文化の相対性』というか、それまで何となく固定されて絶対と思っていたルールみたいなものとは、全然違う世界があって。だからわかりますね。自分のカルチャー以外のものを認めないっていう人たちは、僕は基本的にダメだと思っています。

―― 大きな入れ替えがないと自分の立ち位置ってなかなか変わらないですよね。


竹内薫氏: 一旦決まった、固定された位置っていうのは動かないですよね。でも同時に精神的な不安定さも背負い込みますから、まあ良い面ばかりではないですけどね。

―― それはもちろん、言葉に限らず、考え方や精神構造も含めてですか。


竹内薫氏: 全部でしょうね、自分の価値観がゼロになってしまうじゃないですか。それは、やはりショックな部分があると思います。

―― ゆっくり積み上げてきた積木がいきなり…


竹内薫氏: そうそうそう、で、もう一回作り上げるじゃないですか。アメリカで永住するのでしたらそれでいいのだけど、また帰ってくるので…。(笑)

―― どうせ壊される、という意識がどこかにあると積み上げ方も恐らく変わってきますよね。




竹内薫氏: そうですね、大人の事情でいきなり環境が変わるので子供はコントロールできないですし。(日本に)帰ってきたらいきなり、アメリカ野郎とか言われて。子供にとってはきついですよね。

―― アメリカ野郎~みたいなこと言われたのですか。


竹内薫氏: やっぱり、着ているものが違うところから、まずは。当時、僕の時代だとみんな半ズボン、全員半ズボン。それなのにいきなり、ベルボトムの。もうそれで学校に最初行っちゃったから、もうダメですよ。全然ダメ。あはは。笑

―― なるほど。話が面白くて脱線しそうです(笑)ところで、お忙しいと思いますが平均読書量ってどのくらいですか。


竹内薫氏: 書評の仕事もやっているので、週1冊半くらいのペースです。仕事で読む本ですね。だから、週1冊半で、(プライベートの)漫画は週3冊くらいかな。(笑)

―― 漫画のほうが多いのですね。ちなみに、どういった漫画がお好きですか。


竹内薫氏: なんでも読みますね。えっと、ジャイキリとか、えーとピアノの森とか。ジャンルは、幅広く読みますね。大人の漫画も読みますね。この間、結構ハマっていたのが、『今日からヒットマン』。

―― どんな内容ですか。


竹内薫氏: 殺し屋が登場する漫画です(笑)結構Hな漫画で、でも殺し屋なのですよ。しかも表の職業は、サラリーマンという二重生活。そんなものも読みますし、ピアノの森みたいなものも読むし、何でも読みます。最近の、デッドマンワンダーランドとか。パッと読んで面白かったら読みますね。

―― 読むときは一気に読まれますか。連載中の漫画なら発売されている分まで。


竹内薫氏: そうですね、僕は今電子書籍で漫画を読んでいるのですが。電子書籍のサイトで、立ち読み版っていうのが送られてくるのです、漫画雑誌の。そこで1話ずつ読める訳です。これ面白いなと思ったら、まず1冊買う。1冊読んで非常に面白いかなと思えば、それで次は全冊買う。(笑)そういう感じですかね。基本iPadで、夜寝転がって、寝床で上に持って。娘が小さいものですから、結構早く寝なければいけないのです。すぐ暗くするので、明るい状況じゃ読めない。そうすると電子書籍しかないですよ(笑)。

―― 電子書籍ならではの利点というのは、ありますか。


竹内薫氏: 電子書籍になると基本的に自分が好きなもの、読みたいと思ったもの、自分の趣味に応じて購入でき、置き場所の問題もあまりないのが利点でしょうか。

―― 置き場所に困りませんよね。住宅事情に左右されないですよね。それに店頭ではなかなか買いにくい本も購入できますし(笑)


竹内薫氏: そうですね、だからある意味、正直なデバイスですね。

―― ちょうど娘さんのお話も出てきたところで、英語教育や幼児教育についても活用法、何かお考えですか。


竹内薫氏: そうですね、色々なアプリがある中で、子供に関してはリアルな絵本の方が、良いかなという感じはあります。今は、大人が使う時に便利だなっていう面の方が強いですね。読み聞かせ機能にしても、できれば自分でやっぱり、肉声で親が読んだ方がいいかなと考えます。それは僕の考えですが。リアルな本から入って、それからその便利さをわかってから、自分で選択して使うのがいいかな、というのが僕の考えですね。

―― そうですね、子ども向けの本は色々な仕掛けもありますし、子どもなりに思考錯誤しながら読むのは良いことですね。


竹内薫氏: 本カバーを外したり、破いたりとかも含めてですね。

―― 先ほど漫画は電子書籍で読まれるということでしたが、通常の書籍はどのような感じですか。


竹内薫氏: 残念ながら、読みたいと思う本は、電子書店に行っても徹底的に足りない、品揃えが悪いですね。英語に関しては、Kindleで大体読みます。Kindleだとペーパー版と、それから電子版同時に発売されるので。日本は遅れていると、言わざるをえないですね。

―― そういった意味でも、過渡期にありますね。それぞれにあった使い方を模索していけると良いですよね。


竹内薫氏: そうですよね。仕事で原稿の修正がある時も、紙で(修正を)入れる時もありますが、PDFに書き込むアプリを使ってiPadで修正することも最近多いですね、だからほんとに過渡期ですよ。デバイスというのはどんどん変わっていくものだから、例えば未だにワープロを使い続けている作家さんもいまが、ワープロが世に出てきた時は、それまで原稿用紙に書いていた訳で、必ず反発があったわけです。新しいテクノロジーの登場は、そういうものです。だから、新しいものはどんどん試してみる方が、面白いと思います。

―― 仕事、ワーキングスタイルに変化はありますか。


竹内薫氏: ありますよ、新しいデバイスが出てくると試すじゃないですか。それが自分のライフスタイルと合致しそうであれば使用する、強制的に使うことはないですけれど。

―― 効率は良くなりましたか。


竹内薫氏: そうですね、確かに良くなっていると思います。紙だと送ってくるまでにまず1日掛かる訳ですよ。こちらから送り返す時に1日掛かるから、結局その輸送の2日は仕事できません。でもPDFで原稿の修正を確認すれば、その2日間が使えるから、時間が有効活用できますね。書き手にとってはものすごく良いことです。

―― 使い様、その場、その場に応じて使用すればいいですよね。


竹内薫氏: ただちょっと違う部分が確かにあると思うのは、自分の原稿は送る前必ず一度印刷して、紙で読みます。そうすると、理由はわかりませんが紙で見た時に見つかる誤りとかが結構あります。それがなぜ画面でわからないのかは、面白い現象ですけど。ただ画面しかないと思ったら、ちゃんと確認するのかもしれません。紙で印刷をする、という意識があるから画面ではきちっと見てないのかもしれません。実際はわかりません。

―― これからの電子書籍に望むものをお伺いします。


竹内薫氏: とにかく新しいコンテンツに関しては、紙と一緒に出して欲しいですね。発想の転換を早くやらないと、ビジネスチャンスをどんどん逃す訳で、紙で買い続けたい人は紙で買えばいいんと思います。僕だっておそらく紙の本もずっと買い続けますが、オプションとして電子版で読みたい人に提供するのは、当たり前のような気がします。僕は川端康成さんの作品が好きで『雪国』を自炊したことがあるのですが、大変なのですよ。時間食って。代行してくれる人がいたら頼みますよね。

―― 便利な点といえば、単純に代行作業だけではなく技術的なサービスも魅力ですよね。デバイスに合わせたチューニングなどは。


竹内薫氏: そう、自分でやると、綺麗にいかない部分がある訳です。

―― 今あるその蔵書に関して、ずっと置いておけばページをめくる度にどんどんカビ臭くなってしまいますが、電子化することによってそういったものも保存できますよね。


竹内薫氏: はい、極論かもしれませんが、今、本が売れないひとつの大きな理由がみんな本をたくさん持ちすぎている。それで本棚が飽和状態になっているから本は売れない、それはたぶんここ10~20年近く前からそうなっていると思います。僕自分の経験から言いますが、本棚が全部一杯の状態で、新しい新刊もたくさん買ってくることはないですよ。

―― なるほど。


竹内薫氏: 僕のように職業作家をしていると、いろんな所から本が送られてくるのですね。1日1冊くらい送ってくる訳です。1年経つと300冊増える訳です。本棚いくら足したって駄目。まあしょうがないから、当初すごい僕が悪口を言っていたんだけど、結局自分でも大手中古書店へ持っていって売る訳ですよ。でなきゃ、捨てるしかないので。それを考えたら、今、全国のそういうまあ本棚を全部自炊して電子化すれば、また紙の本は買う余地が出てきますよ。

―― 場所取りの問題も、ですが災害の際の倒壊の危険性という意味でも。


竹内薫氏: そうですよね、どうしても紙の本で取っておきたいというのもあります。それは装丁がすごく綺麗な本とか。それは僕、良いと思います。ですが、本棚にある古い文庫本などは全部自炊してしまってもいいのでは、と思いますね。

―― では逆に、装丁の部分とか紙の『ここが好きだ』という点を伺えますか。


竹内薫氏: 僕は、紙の本は消えてなくならないと思います。インクの匂いとか、好きですよ。

―― 私も、大好きです。


竹内薫氏: そうですよね。(笑)やはり、自分の本でも出来てきた時にこう来るとまず匂いを嗅いだりするのです。あとは装丁、作る人がデザイナーさんとかが、一生懸命やってくれます。そういった部分はやはり必要と思います。触った時の質感も。

―― 私もNHKテキストの質感と匂い、好きですね(笑)。


竹内薫氏: NHKテキスト(笑)。

―― 電子書籍によって変わること。読み手と書き手それぞれどのように変わって行くのか。可能性としては双方向のコミュニケーションがしやすくなると思うんですけれども、どのように変化していくとお考えですか


竹内薫氏: 読み手の場合、デバイスごとにいろんなサイズがありますよね。タブレット自体が工夫されてるきていると思う。結局本の世界で文庫があって新書があって、単行本があるみたいなのと同じような感じで、タブレット自体の進化が必要で、みんなが自分のライフスタイルに合ったタブレットを使って読むっていう時代が来ると思うんですね。読書専用で、電子ペーパーみたいな、軽くて薄いものに特化してもありだと思います。それを何冊も持ち歩くことができる。

―― 自分にあった形を持ち歩くことができ、さらに物理的な制約から解き放たれるような感じですね。


竹内薫氏: そうですね。自分の本棚をそのままバーチャルな感じで引っ張っていくそうなると思いますけどね。今すでに音楽がそうなっているように。

―― 書き手の執筆スタイルに変化はあるでしょうか。




竹内薫氏: 油断する可能性が出てくるのはいけないと思います。電子書籍だと、修正できる。間違った記述とかがあったとしても、アプリの更新みたいな形。紙に印刷するとなると、一旦それを1万冊印刷した場合、間違った部分が1万コピー出る訳でしょう?これは大変です。だから校閲とか、老舗の出版社はそういうノウハウがものすごくありますね。

―― それこそ、出版社が培ってきたノウハウが生かされるとこでもありますよね。


竹内薫氏: そう、だからね、理想的な形はやっぱり、紙と、電子。これを同時出版して欲しいなと思っています。ちゃんと紙用に作って、それを電子化する。要らないように見えるけどやはりそれは、段階を踏んだ方がいいというのが、僕の考えですね。そうするとキチっとしたものができる。

―― なるほど。ところでこの取材の後、国際宇宙ステーション『きぼう』の公演に出演されますが、宇宙ステーションは、長期滞在していろんな研究をされると思うんですけど、結構長い期間だと思いますが、宇宙飛行士の方にとって宇宙での生活の仕方も変化しますよね。


竹内薫氏: そうですね、宇宙空間はとにかく重いものを運んで行くとお金が掛かってしまう訳です。例えば半年間滞在する時に、電子書籍でしたら本の持ち込み制限が無い訳ですから、デバイス1個でできるというのは、大きな変化をもたらすでしょうね。

―― 地球から送信することも可能になってくるでしょうか。


竹内薫氏: どうですかね。宇宙ステーションの中で、ネット環境がどうなっているかわかりませんが、いずれはそうなると思います。

―― 宇宙から見る地球の醍醐味があると思いますが、宇宙での読書の醍醐味というのも、話の話題として今後出てきそうですよね。宇宙空間ではこういう本を読んだ、みたいな。(笑)


竹内薫氏: あははは、宇宙で、無重力状態で読む。

―― 宇宙で読むべき~みたいな(笑)


竹内薫氏: いや面白いのではないでしょうか、それ。

(聞き手:沖中幸太郎)

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