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世界中の本好きのために

石渡美奈

Profile

1968年東京生まれ。立教大学卒業後、日清製粉、広告代理店を経て、祖父が創業したホッピービバレッジ(旧・コクカ飲料)に入社。広告宣伝担当、副社長を経て、創業100年となる2010年に3代目社長に就任。ブログ「看板娘ホッピーミーナのあととり修行日記」をはじめ、ラジオや各種メディアを通して、それまで男性中心だったホッピーの女性や若者への人気を確立。その売り上げを大きくV字回復させた。著書に『社長が変われば会社は変わる!』(阪急コミュニケーション)、『技術は真似できても、育てた社員は真似できない』(総合法令出版)など。

Book Information

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バイブルは『赤毛のアン』


――石渡さんの読書体験についてお聞かせください。


石渡美奈氏: 読書習慣をつけてくれたのは母です。小学校低学年のころ、とにかく母が本を買い込んでは私に与えた。そればかりか「読んで感想文を書きなさい」と言うんです。書かないと読んでいないことがバレて叱られる。それと同時に、絵日記を書くように言われて、これもチェックが入って、やっていないとビンタ。日記は6年間で段ボール箱いっぱいになって、今は大切に屋上の倉庫にしまってあります。私の日記って、いつも「今日は」から始まっていて、大人になってからもしばらくは、「今日は」を抜かすと罪悪感を感じていましたね(笑)。小さいころは、意味を理解していませんでしたが、これで読むことと書くことの力をつけてもらいました。おかげさまで、私という人間の礎を担う大切な基礎力となっています。

――そのころはどのような本がお好きでしたか?


石渡美奈氏: 小学校2年の時に、知り合いの方から『赤毛のアン』をいただきました。これが強烈な出逢いで、赤毛のアンは今でも私のバイブルです。少女時代のモデリング対象はアン・シャーリーなんです。赤毛のアンの非常にクリエイティブな妄想癖と言われるような世界を自分で作り出していました。赤毛のアンから始まって『若草物語』とか『少女ポリアンナ』も読んでいました。一人っ子だったので、おかげ様で割とお年玉がいただけていたんですが、そのお年玉は全部、本に消えていました。紀伊國屋渋谷店に行って袋いっぱい本を買うことが大好きで。あのころから「大人買い」です(笑)。私が赤毛のアンが大好きな話は友人の間でも有名で、中学・高校時代は髪の毛を結わかなきゃいけないから、それを逆に利用して赤毛のアンと同じおさげをして喜んでいました。

――好きになるとそれだけを夢中で読むという感じですか?


石渡美奈氏: 1つが気になり出すと、とことんまで追い駆ける、究めるタイプです。私は赤毛のアンが面白いと思うと、モンゴメリ(赤毛のアンの作者)作品や同類の本をすべてワーッと読むし、その後平岩弓枝さんや唯川恵さんの本にもハマりましたが、いったんハマるとそれだけずっと読んで、もう出版されているものは、全部読まないと気が済まないんですね。全部を知りたいと思うんです。

――電子書籍はお使いになっていますか?


石渡美奈氏: 私、一枚一枚ページを繰っていく手触り感とか、紙の匂いとかインクの匂いとか、ペーパーが好きなんです。そこに書き込みをしたり、付せんを貼ったりします。だからやっぱり電子書籍だと読んでいる感がしないと言うか、物足りなさを感じます。

ホッピー65周年、そして次のステージへ


――本を読むこと、また文章を書くことで培われることはなんでしょうか?


石渡美奈氏: やっぱりクリエイティビティだと思うんです。それから概念化、本質を見抜く力、最後は表現力です。私の場合はそれらが本を読むことを強要されたことと、絵日記を強要されたことに始まるような気がします。それと、小学校5年生、6年生の時の担任の先生が、すごく作文を書かせる先生だった。先生がいいと思う作文は学級新聞に載せてもらえる。それが嬉しかった。それでやはり一生懸命作文を書いては提出するんです。そこでまた、書く力、表現力、洞察力、編集力などが鍛えられたと思います。高校2年ぐらいの時、担任の先生に、「あなたは書くことも好きなので、いつか本を出すといい」って言っていただきました。こうして振り返ってみると、私は背中を押してくださる方々との出逢いに恵まれています。

――石渡さんは作家としても活躍されていますが、本を書く際にはどのようなことを伝えたいと思われていますか?


石渡美奈氏: 今まで書いた本は、実際に会社で起こっていることがほとんどです。ノウハウの本はいっぱい出ていますが、本当に知りたいのはノウハウではなく「何をやったらどうなったか」という事例なのではないかと…。実際にあったことを書いた方が伝わる。ただ単なる暴露本ではつまらないので、3回目では現象を理論でひもとく形にしました。人を傷つけるようなことはもちろん書かないですが、読む方にしっかりとメッセージが伝わるようなものを書くことを心がけています。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。


石渡美奈氏: 今年はホッピー発売65周年という節目を迎えて、ちょうど私が社長のバトンをお預かりして丸3期終わったという節目でもあります。この節目の時期に、次のことを考えています。私の社員とのかかわり方もまた1つ節目を迎えていると感じています。私がやってきたことを若きリーダーたちに任せて、私は次の一手のために学びに行きたいです。
新卒採用を始めたのが2006年からで、2007年に1期生が入って来ました。最初の3代はある意味すごく重要なんですけれども、3期生が今年5年目になりまして、本当に学生から社会人へと脱皮をし始めた。若い社員たちに仕事を通じて、人のお役に立っていること、社会に貢献できていることが楽しいと思ってもらえる、そういう会社にしていきたいと思います。おかげさまで若い社員がグングン育ってきてくれているので楽しみですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

著書一覧『 石渡美奈

この著者のタグ: 『働き方』 『教育』 『経営者』 『新卒』 『企業文化』

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