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世界中の本好きのために

杉井光

Profile

1978年生まれ、東京都稲城市出身。高校卒業後、フリーターを6年、ニートを3年経験。フリーター時代は、アマチュアバンドでキーボードを担当。特技は料理と麻雀。「火目の巫女」で第12回電撃小説大賞〈銀賞〉を受賞し、2006年にデビュー。著書に『生徒会探偵キリカ』(講談社ラノベ文庫)、『神様のメモ帳』、『さよならピアノソナタ』、『楽聖少女』(電撃文庫)などがある。

Book Information

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聖書の研究ソフトを「愛用」しています


――今回電子書籍のお話もさせていただこうと思います。電子書籍というもの自体のご利用というのは、杉井さんご自身はございますか?


杉井光氏: 広い意味でならありますね。僕は聖書を結構作品に使うので。聖書って分厚くて、すごく重いんです。で、使いたいところだけパッと広げて探して読むのがめんどうくさい。なので、研究ソフトを買いました。

――研究ソフトと言いますと。


杉井光氏: 聖書研究ソフトです。聖書のテキストが入っていて、対訳とかを並べて表示できて、パソコンで見られるんです。広い意味での電子書籍ですよね。買ったことがある中では一番お金のかかった電子書籍じゃないかと思っています。資料本って検索したいので、検索できるのが一番大きいですね。

――どんな検索の仕方をされるんですか?


杉井光氏: 僕は聖書はすごくミーハーな使い方をします。誰々が言ったカッコイイ言葉をなんでもいいから使いたいなと思ったら(笑)、格好良さそうなキーワードを入れて検索して、出てきた中で使えるものを使う。例えば福音書って4冊あって、内容がかぶっているんですけど、イエスの言った「ワインが自分の血だ」という言葉を使いたいなと思った時に、一番カッコイイ表現をどれにしようかなとパッと検索すると、4つ並べて表示してくれるわけです。ありがたいですね。そういう使い方をしてます(笑)

――それはいつごろ買われたんですか。


杉井光氏: 比較的最近ですね。検索して見つけたんです。聖書研究ソフトがあるらしいというのは、前から知っていたんです。それで通販で買いましたね。

――iPadとかKindleとかはお使いですか。


杉井光氏: どちらも使ってないです。今のところはほぼ100%紙の本ですね。電子書籍の一番のハードルって、端末をどれにするかという話だと思うんです。端末を買ったらすぐに電子書籍に移行するんじゃないですかね。

――そうですか。紙の本に対して、何かこだわりとかはありますか?


杉井光氏: 特にないんですよね。でも、インタビューを受けて写真を撮られる時に、背後の本棚に本が並んでいるほうがカッコイイじゃないですか(笑)。そういう意味でオブジェとして必要なんじゃないかと思ってます。

電子化や電子書籍について思うこと


――ご自分の本の電子化については、何か抵抗はございますか?


杉井光氏: (笑)、それはないですよ。じっさいに出版されてますしね。

――電子書籍の利点というのは、どこにあると思われますか?




杉井光氏: 小説って1冊まるごと時間をとってバッと読むので、「紙であることの不便」があまりないんですよね。それがたとえば辞書だと、「紙であることは不便」なわけです。同業者に聞いてみても、紙の辞書を使っている人なんて1人もいない。辞書ソフトを入れている人もあんまりいないんですよね。だいたいネットで調べている。つまり電子書籍の利点といっても用途によりけりですよね。さっきゲームブックのお話をしましたけど、ゲームブックってほぼ、滅びているんですよ。あれは本当に「紙であることの不便」がでかいですね。いちいちめくって探すんですよ、毎回毎回毎回。間違ったら元のページがわからなくなっちゃったりして。だからハイパーテキストでやれないかという話になりますよね。で、探してみたらアイゲームブック(ゲームブックのスマートフォンアプリ)というのがちゃんとあるんですよ。ゲームブックというものはもう、いわゆる普通のコンピューターのゲームに取って代わられてしまったわけですよね。昔はそんなにコンピューターが普及していなかったし、高かったし、だからゲームブックが商売として成り立っていましたけど、もうそこはあっさりと成り代わられた。そんなふうに、用途によっては紙の本は全部電子書籍に成り代わられるんじゃないですかね。

――ほかに杉井さんご自身が、書き手として思われる電子書籍の利点というとどんなところにあると思いますか?


杉井光氏: 僕はですね、本の側からコンピュータに近づくということの意味があまり重大なものと思っていないんです。例えばサウンドノベルとか、あれは言ってみれば電子書籍じゃないですか。あれはコンピューターゲームの側から小説に歩み寄ってきたんですよね。ゲームなので当たり前のように、音が付くわけですよね。なので、本を電子化するという考えは別にこだわらなくていいんではないかと。コンピューターが普及したので、別のジャンルが出てきたよっていうのでいいんじゃないですかね。

――どうしても、本とかこだわってアプローチしていくと変なことになると。


杉井光氏: あんまりこだわらない人が新しいものを作ると思います。小説は小説でやっぱり、テキストデータというのが一番軽くて、読者に負担をかける分、著者にはすごく楽なメディアです。電子書籍になっても続くと思いますし、そんな形態はかわらないと思いますね。

――二つとも共存して存在していくと思われますか?


杉井光氏: 電子書籍が出る前から、テキストのゲームはいっぱいあったし。あんまり変わったようには思えないですね。だからそれこそ辞書とか、そういう取って代わられる分も、既にもう代わられているんじゃないかなと。

――電子書籍はどのように進化していくと思われますか?


杉井光氏: 漫画の方が、電子書籍って存在はでかいと思うんですよね。漫画というのは紙の1枚に収めるために進化してきた手法なので、たぶん電子書籍が生まれたら、電子書籍しかできないことを、漫画がやり始めると思います。もう既にありますよね? (既存の漫画と同じものを)一コマずつ見せるというのはバカバカしいので、電子書籍に特化した感じの見せ方というのが既にあります。あれはそのうち、絵も動くし、どんどん漫画ではない何かに進化していくんではないでしょうか。

一番得意な「物語を書く」ことで今後も勝負していく


――それでは最後に今後の取り組みをお聞かせいただけますか?


杉井光氏: 僕はやっぱり物語を作るのが得意で、それが一番金になるので、何かしら物語をずっと作っていくと思いますね。出版社が電子書籍でいつかなくなるんじゃないかとか言われていますけど、小説に限らず、物語の需要はいつでもありますので、食いっぱぐれることはないかなと思っています。表現の幅が広がるのは大変ありがたいことですね。

――それでは、小説とかそういった枠から飛び出して、もっともっと色々なことをされる可能性っていうのは、これから十分にありますか?


杉井光氏: 既に漫画を進めているわけですしね。小説は一人でしかできないので、他人と何かやると、また別のものが現れますよね。あとは、死ぬまでに自分の考えていることを全部書けるかというと、小説だけやっていたら無理っぽいんですよね。アイデアだけ他人に任せて書いてもらいたいというのもあります。

――そうしたらまた、新しい杉井さんワールドというのを、われわれもまた見ることができそうですね。


杉井光氏: その時は、僕だけの世界じゃなくなっているので、作画さんの力が大きいので、僕ワールドではなくなっている気もするんですけれども、僕も楽しみですね。

(聞き手:沖中幸太郎)

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