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世界中の本好きのために

臼井由妃

Profile

結婚後病身の夫の後を継ぎ健康器具販売会社の社長になる。次々にヒット商品を開発、通販業界で成功を収める。理学博士号・MBA・行政書士・宅地建物取引主任者などを短期取得。その実践的な仕事術や勉強法にも定評がある。著者・経営コンサルタント・講演家としても活躍。著書に「1週間は金曜日から始めなさい」(かんき出版)「仕事の8割は人に任せなさい」(青春出版社)等のビジネス書のほか、「40代を素敵にしなやかに生きるハッピーセオリー」(アスペクト)など女性の生き方をテーマにしたエッセイも多い。最新刊は「金なし!コネなし!経験なし!だから会社は強くなる」(青春出版社)

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人間の原点を描いた、読み継がれる本を書いていきたい



臼井由妃さんは、33歳で主婦から健康器具販売会社の社長に転身、数々のヒット商品を手がけてきました。また、勉強法や時間活用術などのビジネス書や、話し方や人づきあいなどのコミュニュケーションに関する本、女性の生き方や暮らし回りのエッセイなど、多彩なジャンルの著書があります。臼井さんに、読書とのかかわり、著者としてのこだわりなど本にかける想いをお聞きしました。

生きていることすべてが仕事、生きていることすべてが遊び


――ご著書のことなどを含め近況をお伺いできますか?


臼井由妃氏: 最近、青春出版社さんから出したのが、逆説的なタイトルですが、『金なし! コネなし! 経験なし! だから会社は強くなる』です。今までたくさんの本を書かせていただいた中で、経営術の本が実はなかったんですよ。かっこいいビジネス書ではなく、泥臭いビジネス書を書きたかったんです。あとは今、料理レシピを書いています。私が普通の料理研究家のような本を書いても意味がないので、私にしかできない料理の本はなんだろうかと考えて、「イージー、おいしい、ヘルシー」をコンセプトに書いています。

――臼井さんは執筆ジャンルが多岐にわたりますね。


臼井由妃氏: 「振り幅」が非常に広いんです。私は自分の執筆するジャンルのことを「ヌードからフードまで」っていっているんですね。ヌードというのは、精神的な部分を含めた体や恋愛などフードは健康や料理など栄養士としての視点から伝えたいこともあります。その振り幅の中に、ビジネスもあるんです。初めて執筆の仕事をさせていただいていたころに、ある有名な出版プロデューサーの方から「いろいろなジャンルに手を広げると、何が何だかわからなくなる」と苦言を呈されたことがあるんです。「ただ私は栄養学も健康科学の学術的な研究もしてきたし、経営学も勉強してきたし、英会話も勉強しているし、振り幅が広いんです」っていったんです。私が著わしたくても世の中が認めてくれなかったらできないわけですから、やらせてもらえるものは全部やる、来るものは一切拒まず、のスタンスで来ました。

――たくさんの著書に一貫したテーマのようなものはありますか?


臼井由妃氏: 同じ仕事をするんだったら、「楽しく朗らか」にということです。私自身が著者として、一読者としても楽しんで書きたいし読みたいんですね。例えばそれが悲劇的なものであっても、その教えを楽しむということです。ですから、かなり重いテーマのものであっても、実は書いている時はノリノリなんですよ。仕事なのか、遊びなのか、趣味なのか区別があまりないんですね。かっこよくいうと、生きていることすべて仕事だし、生きていることすべて遊び。仕事ということを意識しないで仕事をするのが私のやり方です。

――普段はどういった場所で、どのようなスタイルで執筆をされていますか?


臼井由妃氏: 信じていることなんですけど、高いところに行ったほうがアイデアが降りてくるんです。天に近いからなんでしょうか。高いところに行って下を見るとお殿様の気持ちで気持ち良いですよね。空気がきれいで高いところ。空気が滞留せずに、抜けていくような感じじゃなきゃだめなので、山や海が見えるところが好きなんです。東京ではなくて、温泉地にある別宅で書いています。標高330メートルくらいで、空気もおいしいですし、鳥のさえずり、風の音なども聞こえます。自然の恵みで研ぎ澄まされる感覚がありますね。

著者にはっきりとものをいう編集者が好み


――本はどのように企画されているのでしょうか?


臼井由妃氏: 本に限らず、企画に関しては覚書でも記録しておかないと忘れてしまうんですね。だから紙の端っこにメモしています。本だったらまずタイトル、それからサブキャッチですね。そして、どういう人に読んでほしいかなども、ひらめいたらとりあえず全部メモします。タイトルが浮かぶとサブタイトルは自然に出てきて、あとは細かい項目まで早くできますね。

――ご自分で立てられた企画は、どのように出版社や編集者に提案するのですか?


臼井由妃氏: 私、担当の編集者や、パーティーでお会いした版元の方に、「こういうことを考えているんですけれど、面白いと思いますか?」って質問するんです。それで相手が話に乗ってきたら、「じゃあ来週会いませんか」っていうんですよね。別にガツガツしているんじゃなくて、「面白がってくれてありがとう」、みたいな感じです。向こうがびっくりしちゃうんですけどね(笑)。何作も一緒にやってきた気心の知れた編集者も良いんですけれど、私はどちらかというと新しい人が好きなんです。ちょっとくせがあって、私が「どう思いますか」って聞くと、「それはちょっと」とか、「そういうものは臼井さんらしくない」とか、はっきりいう人が好きなんですね。もじもじして何もいわないのは、しょせんうわべの付き合いじゃないですか。言葉を選びながらも、「私の意見は……」っていう人が好きなんです。

例えば、1作当たったジャンルがあるとしたら、それの周辺で同じことばっかりやっているんじゃ、読者の人に失礼ですし、以前に出した本にも書いてあったことが、他の本にも同じ形で出てきたら、本を冒とくしているような気がするので、私はだめなんですね。長年一緒にやってきている方には、私も「どんどん原稿を直してください」といっています。私は、120パーセント自分で書いているんです。120パーセントっていうのはどういうことかというと、余計なことまで書くってことなんです。例えば250ページ書くことになっていると、300ページ位書いちゃうって感じなんです。だから、それを削るという作業が必要になります。「ちょっとこれはわからない」とか、はっきりいってくれる人ではなくてはだめなんです。

――出版社によって編集方法など異なるかと思いますが、どのように一緒に仕事をする出版社を決めてますか?


臼井由妃氏: 出版社の勢力図みたいなものが、業界的にいろいろありますよね。でもあんまり有名でない会社や編集者でも関係はないんです。編集者さんと版元さんと私が、三者で同じ方向を向いてできるんだったら小さい、大きいは関係ない。例えばビジネス書はどこの版元が強いとか、私なりにわかっていますけれど、出版数が多い会社であっても、一点あたりの力のかけ方が弱いこともあるじゃないですか。そこのトップが「臼井さんの本が良いよ」といえば力を入れるけど、そうじゃなかったら「その他大勢」になる可能性も高いでしょう。一方、小さい会社でワンマン的だけど、精魂込めてやってくれるところもあります。どっちが良いかっていったら、私は後者のほうを取りますね。それはある種リスクかもしれないんですけど、そちらのほうが楽しく仕事ができますからね。

――本を書く際に、気をつけていることやこだわりはありますか?


臼井由妃氏: 私自身が、ビジネスをずっとやって来ていることもあって、商品の納期、原稿でいう締め切りにはかなり厳しいです。例えば手形の入金が遅れたらアウトじゃないですか。原稿も今日の5時まで締め切りだとしたら、5時01分でも手形が落ちないのと同じだと私は思っているんです。パソコンの調子が悪くて、どうしても送れないということも有り得るので、最悪締め切りの前の日に送ります。これはずっと続けていることです。一番きつかったのは腱鞘炎の時ですね。どうしてもスピードが遅くなってしまうし、キーは打てるけど痛いからイライラして気持ちが乗らない。その時は、締め切りは明日なんだけど、「ちょっとだめです」っていおうかと思ったんですけど、ここでタガを外してしまうと、雪崩のようになってしまうと思って、先方に電話をして、「実は腱鞘炎なんですけど、ちゃんと明日の何時までに入れますのでご心配なく」って宣言をしたんですね。別にいう必要ないんですけど、宣言しておきたかったんです。そうしないと怠けちゃいますから。私は、著者としてあまり誇れることはないんですが、締め切りだけは絶対に守る自信があります。



家族の影響で始めた読書が今につながっている


――臼井さんの読書にまつわる話も伺いたいと思います。最初の読書体験はいつごろでしょうか?


臼井由妃氏: 子どものころ、父が漫画は毒にしかならないとかいって、家では一切漫画禁止だったんですよ。じゃあ何を読むかというと、世界名作全集にある『小公女』(偕成社文庫)とか、『赤毛のアン』(新潮社文庫)とか。それが7歳ごろのことですが、自分としては、手ごたえのあった本を読んだ初めての記憶ですね。くり色の髪の毛とか、ブルーの瞳の女の子とか、あるいは外国の文化みたいなものが垣間見えて、あこがれで読んでいただけのような気がします。子どものころは体があまり丈夫じゃなかったので、外に出て遊ぶということができなかったものですから、家の中で本を読む機会は非常に多かったです。それから、祖母が日本の古い民話とか、伝承文学みたいなものの本を持っていたんです。多分原書に近いんだと思うんですが、古事記とか古今和歌集とか、枕草子とかがいっぱいあって、もちろん読んでも理解できないんですけど、表紙が何ともいない風格があって、すてきなんですよね。開くだけでお利口になる気がして、読むんじゃなくて、見ていましたね。

そして中学になって、祖母の本からなんとなく歴史に興味がいったみたいで、日本史がすごく好きだということに気づいたんです。両親が徳川家康とか織田信長、武田信玄とかの偉人伝などを持っていたので、読んでいました。図書館のにおいが好きで、夏休みは図書館にもう通いつめて本を読んでいましたね。で、気になった言葉とかを書きとめていた記憶があるんですが、「下克上」とか、「川中島」、「桶狭間」とか、キリシタン大名の名前とか仏教の用語とかが出たり、めちゃくちゃでしたね(笑)。

――ご家族の趣味や蔵書からの影響が強かったのでしょうか?


臼井由妃氏: 私は一人っ子なので兄や姉に影響されるということがなかったんです。父や母が買ってくれたものとか、祖母が持っているものしかないので、どうも古臭いようです。漫画は禁止でしたが、じゃあ見たいかっていうと、見たくないんですよ。学校でアニメとかテレビの話をしていても、全然わからなくて、浮いているんですよね。徳川家康のこととか聞いてくれればすごく詳しいんだけど、誰も聞いてくれないし。何か変な子っていう感じでした。家康といえば、そのころ読んだ本の中に、家康の食生活が出ていたんですね。三河ですから豆、みそを使って、また薄味であるとか、薬草や漢方に非常に造詣が深いとか。それで食にも興味がいきました。だから考えてみると、子どものころの体験がすべて今につながっていますね。

著書一覧『 臼井由妃

この著者のタグ: 『女性作家』 『チャレンジ』 『出版業界』 『経営』 『ビジネス』 『エッセイ』 『古本屋』 『料理』 『図書館』 『挑戦』

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