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世界中の本好きのために

野口敏

Profile

1959年生まれ。関西大学を卒業後、きもの専門店に入社。1万人以上の女性に接客し、人の心をつかむコミュニケーション方法に開眼。そこからコミュニケーションスクール「TALK&トーク」を開校。現在、株式会社グッドコミュニケーション代表取締役。「話し方教室TALK&トーク」を主宰。これまでに5万人以上の受講生を聞き上手、話し上手に変身させる。モットーは「今日習った人が、今日少しうまくなる」。実生活にすぐ生かせるノウハウや会話フレーズを懇切丁寧に伝授している。著書『誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方66のルール』(小社刊)は、あらゆる年代の層に支持され、85万部を超える大ヒットに。

Book Information

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自分の幸せのために、やりたいことをやる人こそが人を幸せにできる



野口敏さんは、ビジネスや恋愛等人生における「会話」の重要性に着目し、コミュニケーションに関する研究を重ね、独自の理論を確立。代表を務める「TALK&トーク話し方教室」の講師として、また社員教育や講演活動等で会話術を指導しています。話し方に関する著書がベストセラーとなるなど、人気作家でもある野口さんに、コミュニケーションの重要性、試行錯誤の連続だったという起業のエピソード、また読書や執筆など本への想いなどをお聞きしました。

恋愛も仕事も、会話は「気持ちのキャッチボール」


――早速ですが、野口さんの運営されているスクールについてお聞かせいただけますか?


野口敏氏: 大阪の北浜の教室で会話術をお教えしています。教えている内容は、コミュニケーション全般で、「自分をオープンにすると話題が増える」「話を聞く」「説明がうまくなる」とか、そういう身近なところからスタートしています。

――受講されている人はどのような目的で勉強されている方が多いのでしょうか?


野口敏氏: 例えば今、婚活を目的にしてコミュニケーションを学ぶ方が増えています。結構、成績が良くて、時間は1年間位かかりますけど、皆さんちゃんと結婚が決まっていきますよね。彼女いない歴5000日、17年間いなかった人が、この間13歳下の人と結婚しました(笑)。会話を勉強すると、自分の思っていることを一方的にしゃべるんじゃなくて、気遣いとか、相手の気持ちを考えることができるようになります。会話を勉強していく上で、相手との接し方とか、メールをいつ送ったら良いかといったところまで段々気づいていく訳ですね。そういうことを重ねていくと、皆とは言いませんけど、良い人と巡り合って結婚していくんです。あとは今、就職も厳しいですから、学生さんや転職する方の面接対策も多いです。社内昇進で管理職になったりする時の面接のためにも結構来られますね。

――面接等、ビジネス上のコミュニケーションではどのような指導をされていますか?


野口敏氏: 自分のことを短い言葉でどうPRするか。どういう風に相手に伝えるかというような内容が多いですね。あと、会社の中での「コメント力」みたいなのもあります。例えば社内で、「どう、最近、どんな仕事しているの?」とか、何気ない投げかけってありますよね。あれに、うまく答えられなくって、「まあ何とかやっております」みたいな、しょうもないコメントしかできなかったりします。ああいう時に、短く的確にしかも上司に「ほう」と言わせる様なコメントをする力はどうすれば身につけていくかという様なことです。人ってそういったことで、「やるな」とか判断するものなんです。「普段のイメージと全然違うんだね」とか、「よく考えているね」とか、上司に思われる。ちゃんと言えるってことは日ごろ考えているってことで、考えているっていうことは、行動しているってことですから。仕事力につながるんですね。

――ちょっとした会話に苦手意識を持っている人は確かに多いと思います。


野口敏氏: 「会話は気持ちのキャッチボール」っていうのが、うちの教室の大きなテーマです。お互いの気持ちを具体的に感じ取って、自分の気持ちを具体的に表現する。まず感じ取って、言葉にするってことですね。例えば、今かなり緊張されていますよね。

――はい(笑)


野口敏氏: そこで、単に「インタビュアーって大変ですよね」っていうだけでは、わかってそうで実はよくわかってない人の言葉だと感じますよね。でも、「インタビューの能力とかを見られちゃうのかな、相手にどう思われているのかなとか思うと緊張しますよね」って、具体性があると「わかっているな」っていう感じがすると思うんですね。人間は気持ちと気持ちでつながることができるんです。気持ちをお互いにわかり合わないと信頼が生まれない。一緒に共同して仕事をやっていこうっていうような気持ちも生まれないので、気持ちってすごく大事なんですよ。

生徒の変化を見て段々のめり込んでいった


――野口さんが会話のスクールを始められたきっかけはどういったことだったのでしょうか?


野口敏氏: 自分でも何で始めたのか、よく覚えてないんですが(笑)。平成元年に始めたんですけど、当時も、結婚できない男性がいるっていうことが段々ささやかれてきた時代でした。今は、当たり前みたいですけど、当時は、何か際物扱いみたいな、気持ち悪いとかそういう時代だったんですよ。それで、自分が教えるとちょっと変わってもらえるんじゃないかという気持ちがあって、始めてみようかなと思ったんです。30歳位で若かったので、だめだったらすぐやめれば良いしというつもりで始めてみたんですけど、やってみると奥が深くて、勉強もいっぱいしないといけない。段々のめり込みましたね。生徒さんとかかわって、変わっていかれる方もいらっしゃるんで、やめられなくなってきたんですよね。

――その前は呉服屋にお勤めだったそうですが、お客さまを相手にする職業をされていたことが役に立つこともあったのではないでしょうか。


野口敏氏: 呉服を売るためには、コミュニケーションがいっぱい要りますからね。そこでコミュニケーションの初歩みたいなものを身につけてはいました。でも、それで自分にはできるかと思ったんですが、始めてみると全然違っていた。呉服を売るっていうコミュニケーションと、苦手な人に何か教えるということにはだいぶ違いがあったので、そこからいっぱい勉強しました。

――会話を教えるための勉強とはどのようなことでしょうか?


野口敏氏: 当時、コミュニケーションはそんなに研究されていない分野で、本がなかったんですよ。カウンセリングの本があった位です。でもカウンセリングとコミュニケーションはちょっと違う。カウンセリングって、つらい話を聞くじゃないですか。自分はあまりしゃべらないで、穏やかに「あ、そうですか。おつらかったですね」って相手の話を聞くんですけど、コミュニケーションは楽しい話を聞く方が多いでしょう。お互いが楽しくならないといけない。同じようなことをやっている人があまりいなかったので、まず自分で考えて、これがいいのではないかというのを、講座で取り入れていた感じですね。

――試行錯誤される中で、どのような指導が効果があるとわかってきたのでしょうか?


野口敏氏: 口下手な人が、会社で話しかけられるようになってきたとか、彼女ができたとか、そういうデータが集まって来て、この方法が合っているんだなと残ったことが2つあって、「反応する」っていうのと、「自分のことをオープン」にするということでした。相手の話に「はい、はい」じゃなくて、もっと体を大きく使って、「えー」とか「へー」とか反応することと、自分のことを言って良い範囲をなるべく広げていくということです。もちろん、言えないところもあるんですけども、言って良いはずなのに、言ってないところって皆結構多いんですね。極端に言うと、どこに住んでいるか言わない人もいるんです。「お家はどこですか」って聞いたら「ここから30分位ですね」とか。30分って、地図に円を引かないといけないじゃないですか(笑)。



もちろん番地まで言う必要はないですけどね。言って構わないのであれば、「難波の方です」とか。もうちょっと具体的にして、そこから徐々に自分のことを話すようにする。職場では「嫌いな上司はどんなタイプか」とか、そういうつっこんだことを皆聞きたいんですから。

――似た業態が少ない中、独立して1からカリキュラムを作り上げることに苦労もあったのではないですか?


野口敏氏: そりゃ失敗もいっぱいありました。成功したのは、5年前です。もうずっと生活が苦しくって、ぎりぎりですね。うちの家内も働いていたし、年収も300万円位で、一番ひどい時は年収50万円っていう時もありました。さすがにもうだめだと思いましたけどね。

好きなことじゃないとエネルギーが爆発しない


――苦労の時期もありながら、なぜめげずに続けてこられたのでしょうか?


野口敏氏: 好きだったからですよね。誰も歩いてない道を自分で色々試しながら、失敗しながら、世間の誰も知らないことを徐々に明らかにしていって、困っている人が助かって幸せになる訳でしょ。やっぱり、そういう幸福を味わうと、やめられない。よく好きなことを仕事にできないとか、好きなことを仕事にしているうちは食べていけないんだよとか言う人がいますけど、できるんですよね。好きなことを仕事にして裕福になることができるんですよ。好きなことをするために仕事をするとか、仕事は半分で、自分の人生を半分位とか言っていると稼ぐ力はつかない。もう仕事っていうのは、人間が一生かけるようなものです。それで、色んな人が喜んだり、幸せになったりする訳でしょ。それ以上の喜びって人間にはないはずなんですよ。その代わり時間はかかります。私はほぼこれしかない状態で来ましたからね。毎日仕事のことを考えている様な感じです。ゴルフなんかをしていても、仕事のことを考えない時っていうのはないです。でも無理して考えているんじゃなくて、誰かが会話してるのを聞いて、こういう会話はうまくいかないんだとか、思考がそっちにいっちゃうんですよね。ゴルフをするのも楽しいですし、飲みにもいくのも楽しいですよ。だけど、やっぱり仕事して、色んな人がこういう風に変わっていきました、来てよかったですって言われることとは比べ物にならないんですね。だから天職だったんですね。

――仕事は自分のためではなく人のためにするということでしょうか?


野口敏氏: いいえ、自分のためなんです。自分の喜びのためなんです。相手の人が喜んだり幸せになったりするのが一番の喜びなんです。だから、結局は皆、誰だって自分のためにやる。ここを間違えるといけません。自分のためにやっている人が成功するし、幸せになれるんだと思いますよ。「自分はそんなには幸せじゃないけど、皆の幸せのために必死に頑張る」ではエネルギーが出てこないですよね。生活の安定を取ると、やりたくないこともやらないといけないし、へつらわないといけない時もあるでしょう。こっちをやった方が幸せだろうなって思っても、それで食べていけるのかなとか、誰でも不安になるじゃないですか。でも、喜びの中で仕事をしたり、好きなことをしてる人しか、裕福にはなれないですよね。エネルギーが爆発しないですから。やりたいことをやるっていうことが大事だと思います。

――やりたいことをやるという、その1歩が踏み出せない人も多いと思いますが、何が原因なのでしょうか?


野口敏氏: できると思ってないからですよ。例えば、今サラリーマンで、「やりたいことあるんだけど、やっぱり生活があるから無理だよね」って言うんだったら、土日にやれば良いじゃないですか。仕事しながら土日とか夜に、ちょっとやってみる。ビジネスになるかどうかわからないけど、やってみて、ちょっと可能性が見えてきたら、もう少し時間を増やしたり、力の入れ具合を会社から事業の方に移して行いって、こっちの方が楽しいとなれば、そこで会社をやめれば良いと思うんですよ。やってみない限りは何もできないですよね。

著書一覧『 野口敏

この著者のタグ: 『コミュニケーション』 『働き方』 『言葉』 『会話』

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