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世界中の本好きのために

松本茂

Profile

2007年から青山学院大学へ勤務。平和中島財団の奨学生としてノースカロライナ州立大学で学び、 そこで経済学のPh.D.を取得。また、筑波大学から環境科学修士を授与される。青山学院大学への奉職前、関西大学にて勤務。研究領域は応用厚生経済学であり、とりわけ消費者の行動分析を中心とした研究活動を展開しており、近年はリサイクル活動や省エネ活動といった世帯の環境配慮を分析している。青山学院大学では、環境経済学や農業経済論を教えている。

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電子的に流通してきたアカデミックな情報インターネットと組み合わせると電子書籍の可能性は広がる



経済学というと、難しい金融の話なのかと思いきや、一般人にも身近なリサイクルや省エネなどを扱う環境経済学という分野があるそうです。その分野をテーマとする青山学院大学経済学部の松本茂教授は、農業経済学にも精通し、花を愛する心やさしき研究者。大学、研究者などといったアカデミックな分野で電子媒体がどのように活用されているのか、いまどきの学生さんは本を読むのかなど、ここでしか聞けない話をお聞きしました。

電子書籍、「リンク」でさらにその先へ


――最近、電子書籍の端末がいろいろ出てきました。松本さんは、iPadなどで本を読まれることはありますか?


松本茂氏: 僕ね、恥ずかしながらまだ読んだことないんです。携帯電話もまだスマートフォンじゃなくて、アナログです。通信費の問題も大きな理由かもしれないけど、携帯電話は1回壊しちゃったことがあって、Gショックのような頑丈なスマートフォンがあればいいんですけど。学生さんはみんな完全にスマートフォンを使っていますね。僕が宿題を出してネットにアップすると、すぐにiPhoneを持ってきて「先生の宿題のここがわかんない」って見せられるんで、時代は変わったなと思いますね。電子媒体へのアクセスは、みんな学生さんのほうがずっと早いですからね。

――電子書籍に対して抵抗はありますか?


松本茂氏: 基本的に、電子書籍に対する抵抗は、全然ないですね。ほかの方がいわれているように、電子媒体で本を読めるとなると、やっぱり一番気になるのは、どれぐらい読める本が多いのかというバラエティーですね。もし電車の中で小説とかを読むとなると、新しい作品を読みたいじゃないですか。そうするとまだ、提供されているコンテンツはちょっと弱いのかなという気はしますよね。

――ほかにどんな機能がつくといいと思われますか?


松本茂氏: もし、キーワードからリンクを張れる機能がついてくると、面白い展開があると思います。例えば学習教材が電子媒体になった時、本を読んでいて、わからないところがあった時に、調べる機能がついてくると、かなり使いやすいですね。普通の本だと電車の中で読んでいて、どこかわからないところがあったら、そこでアウトじゃないですか。それ以上調べる手だてがない。電子媒体は、その先に広がっていけるようになってくると面白いのかなと。多分それが電子書籍の強みになるんでしょうね。 昔だと、例えば学術論文の後ろにレファレンス(参考文献)が載っていて、それを頼りに図書館に行って一生懸命必要な文献を探さなければなりませんでした。今は、この世界でいえば、オンラインジャーナルなど電子的に提供されるようになっているので、知りたいことはどんどん調べられる。本でもそれができるようになるとありがたいですね。例えばハリーポッターの1巻目を読んだあとすぐに2巻をすぐに読めるとか、もしくは同じ作者の本を、続けて読めるとかね。そういうしくみができるといいですね。

――お仕事のスタイルについてお伺いしたいんですが、普段、執筆はどのように行われていますか?


パソコンが身近な世代、操作がスピーディー


――教育者の立場として、電子媒体は、どんなところに活用できそうですか?


松本茂氏: 青学は、図書館とか小さいんですよ。都心のキャンパスで、地価が高くてスペースも限られている。こういう大学では、書籍や雑誌を電子媒体でストックしていくっていうのは、省スペースだし、物理的なメリットが大きいですね。それからほかの先生がすでにやられていることなんですけども、今の大学では、先生によっては出席をスマートフォンでとったりします。1時間講義をして残り15分でクイズを出したりして、スマートフォンを使って試験をさせているらしいんですよ。その先生にいると、僕はまだマークシートで試験をやっているからアナログらしいんです。彼はそれを全部電子的にやって、答えも選択肢から選ばせるようにする。そうすると瞬時に答えが返って来て、それで採点も終わっちゃう。そうすると学習効果の向上にもなって、効率もいいんでしょうね。進んでいる先生はそういうことをやっていますね。もちろん出題のしかたは、択一とかスペルチェックとかそういうのしかできないでしょうけども、それでもやらないよりはいいんじゃないでしょうかね。

――学生はスマートフォンでのテストに抵抗を感じず、受け入れているんですか?


松本茂氏: 若い学生は本当に、そういったことに抵抗がないんですね。誰でも確実にパソコンを扱える。大学の3年の授業で、パソコンで統計分析の初歩みたいなのを教えているんですけど、10年前まではExcelを使うにしてもけっこう時間がかかったんです。でも今はものすごく速い。中身がわかっているかどうかは別ですけども、とりあえず操作は速いです。西暦2000年前後の学生さんと今の学生さんじゃ、そういうものに対する抵抗感は全然違うと思いますね。今の大学生は、生まれた時からまわりに電子機器があふれていて、物心がついた時からパソコンもあったから、全く抵抗がないですよね。昔は、入学した時に大学で、わざわざパソコン教室を開いて教えていたじゃないですか。今はそれが必要ないんですね。触っていない人がいないから。

――そうすると教えやすくなっていますか?


松本茂氏: そうですね、20年前はゼミで12人、15人いると、中に全くパソコンを触ったことがない子がいたんですよ。そうすると、その子たちをフォローしないといけないんですけど、今は当時とはアベレージが違うので、なにごともスピーディーです。速くなりましたね。だけど彼らが内容をわかってやっているかっていうと、その点は変わってないなとは思います。要は車の運転と一緒で、車がどうして動いているとか、エンジンがどうなっているかとかをよくわかって動かしてないんだけど、動かすのは動かせるんです。昔に比べると本当に操作はうまいですよ。

著書一覧『 松本茂

この著者のタグ: 『大学教授』 『可能性』 『教育』 『経済学』 『スマートフォン』 『料理』 『本屋』 『図書館』 『パソコン』 『植物』

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